スネーク・フライト
ギャングの犯罪場面を見た証人をハワイから西海岸へ運ぶ飛行機に、証人を飛行機ごと墜落させるために何百ものヘビが積み込まれ、太平洋上空で貨物室から解き放たれてサア大変、という話。全くもって有り得ない突飛一番な設定の作品。あれ?でももちょっと好意的に考えてみれば、海の上で飛行機を墜落させれば機体の回収は難しいわけで、そうであればまさかヘビのせいで墜落するとは誰も思わないわけで、もし管制との交信でパイロットが「ヘビがいるー」って訴えていたとしても、やっぱりヘビが機内に何百もいるなんて話は普通誰も信じないわけで、さらにフライトレコーダーが回収されたとしても、そこにはヘビの事なんて記録されないわけで、ひょっとしてこれって完全犯罪になりうるんじゃない?意外と上手い方法なのかもしれなかったりして。
構造としては密室が舞台の動物パニック映画ということで、分かり易いキャラクターを多数登場させ、ちゃんと前半で登場人物の性格をキッチリ描写してから、死ぬべきキャラを退場させ、助かるべきキャラを助けて、伏線をちゃんと回収していくので、お客としては安心して見ていられる。基本に忠実であります。さらに主人公がずっと飛行機の中にいるために絵面が単調になりがちになるという欠点を補うために、主人公のサミュエル・L・ジャクソンの友人のFBI捜査官に地上でのドラマを担当させていて、これが適度に見ている者をして飽きさせない工夫になっている。B級アホ映画のようなフリをしているのだけど、意外と作りは丁寧で、さすがは佳作「セルラー」の監督デビッド・R.エリスの作品。
それにしても、相手はヘビなんだから、きっと急減圧で機内の温度を低下させて、動きを止めて退治するのがクライマックスの大技になるに違いないと思っていたのだけど、実際はもうちょっと乱暴な手法がクライマックスでした。
御裁断は(最高☆5つ)
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