スーパーマン リターンズ
どうも「スーパーマン」と言う枠組みの中では、自己の存在意義に悩むヒーローという話は上手く行かないような気がする。例えば「Mr. インクレディブル」がその話を進める上で採用した設定は、スーパーマンには当てはめられなさそうだ。で、今作では、むしろロイス・レーンとの関係に悩んでいるだけのように見えて、何だかメソメソしたスーパーマンだなあと思える。悩むにしてももうちょっと明るいやり方があろうもので、そういう意味では基本的に陰性であるところのブライアン・シンガーの資質はスーパーマンとは合わなかったのではないかと。絵面的には、ありえないほど重たいものを抱えるシーン続出で、この脳天気さがまた全体の雰囲気とミスマッチであると言う。
で、お話のテーマとしては「父から子に受け継がれるもの」というのがあって、それが父側からのみ描かれるというのが興味深い。今、世界は父を破壊しつくした先に、再び父を取り返そうという意識を持ち始めているのかもしれない。個人的には、意識しないと取り返せないというところに危機感を感じるが。そんなに難しく考えない方が良いんじゃないかと。
オープニングタイトルで文字が残像を引いてビューンって飛んでいくところは懐かしかったのだけど、テーマ音楽がジョン・ウィリアムスのあの名曲を再び採用したのにも関わらず、テンポが速くオーケストレーションもオリジナルより随分と軽く仕上がっていて(特に管楽器)、「こんなんじゃない!」と叫びだしたくもなった。
御裁断は(最高☆5つ)
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