シリアナ
アメリカは国益のためならこれくらいの事なら平気でやりますよって話を、CIA、石油会社の合併に関わる弁護士、開明派のアラブの王子、自爆テロに走るパキスタンからの出稼ぎ青年、の4方面から独立に描く。しかし、内容のシリアスさと比してスクリーンからは今一つ切迫感を感じない。いや、現実は確かにそんなものかもしれなくて、行き当たりばったりにも見えるピントのぼけた行動が、誰も想定しない形で事件を引き起こすのだろう。けど、スクリーンでそれをやられると、観客は当惑するんじゃなかろうか。私には青年がテロリストになる必然性も、マット・デイモンが王子の顧問になる必然性も、ちっとも理解できなかった。弁護士の話だけは、よくわかった。
ところで、本当にこの手の活動が行われているのかどうかは私は知らない。けど、石油利権に群がる有象無象の話は私をして、将来エネルギー自給時代が来たら(それは環境負荷低減の観点からも、石油枯渇の点からも要請されている)、権力構造やらなんやらはどんな風に変わってしまうのかということを考えさせたのであるな。そうなると、この作品で描かれている策謀が、もし本当にあるのだとしても、大変ケチな事に思えてきて、それで話に集中できなかったのかもしれない。
もう一つ頭からどうにも離れないのが、ジョージ・クルーニーのタプンとしたお腹。
御裁断は(最高☆5つ)
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