ナルニア国物語 第1章 ライオンと魔女
すぐ手の届く身近な場所に異世界への扉があって、というのは、子供のファンタジーの一典型だと思う。私も子供の頃に、近くの川の中洲が草ぼうぼうで足を踏み入れるのも難儀になっているのを見て、「あそこで人知れず生物進化が起っていて、ミニチュアサイズの恐竜が跋扈する世界ができていたらどうしよう」とか思ってドキドキしたものだ。タンスの奥に動物たちが人語を話し、英雄たる人間が現われるのを待っている世界があったら、と思うとそりゃあ興奮しましょう。
そんなわけで、かなり子供向けである。日常生活ではさえない僕も私も向こうでは世界を救う王様なの、ってそのままオコチャマ思想であって、まあなんちゅうかディズニー映画だしそれはそれでいいんだけど、指輪物語の余韻のためにああいうものを期待していたものだから肩透かし。他にも、お話の展開がテキトーと言うか、これまであんなに憎々しかったキャラなんだから、そこで簡単にしょんぼりするなよ!とか、もうダメだと思ったあのキャラがその後大活躍するようになるにはそれなりにちゃんとした理由を複線で張っとかなきゃダメでしょ!とか色々ある。子供向きだからって、何でもありにしていいってもんじゃないと思う。あと、もうちょっと華のある子役を使おうね。
とはいえ、ナルニア国の世界は良く作り込まれていて見ていて飽きることはない。フォーンとか、私的にはちょっと気持ちの悪いキャラだけど、まあ良くできている。何と言っても素晴らしいのはティルダ・スウィントンの白の女王。禍々しい事この上ない。今作のタイトルには第1章とあって、ということは第2章以下が作られる予定なのかと推察されるが、ティルダ・スウィントンが出ないのだとしたら魅力半減だなあ。
御裁断は(最高☆5つ)
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