ナイロビの蜂
ル・カレの原作物。ケニア在住の庭いじりが趣味の英国外交官の妻が殺される。外交官は妻の死の真相を調べる中で、その国で製薬会社が行っている新薬開発に伴う陰謀を妻が暴こうとしていた事を知り、それまでの内に隠ったやり方から踏み出し、妻に近づいていく、という話。
政治サスペンスの要素を持つこの作品、リアリズムを醸し出すためか、手持ちカメラ風のショットが多い。しかも容赦なくそれを繰り出してくるので、私は途中で気持ちが悪くなってしまい、所々目をつぶったりピントを外してぼんやりとしか見ていないシーンがあった。そのため少し集中にかけた観賞であったのだが、それでも、受動的だった主人公が紆余曲折を経て、現地人の少女を助けるため飛行機のパイロットと怒鳴り合うようになるシーンや、その後に訪れるラストシーンには心を動かされずにはいられなかった。この作品は登場人物の心の変化を丁寧に描く人間ドラマでもあるのだ。優れた作品だと思う。
レイチェル・ワイズは妊婦姿のヌードも披露しアカデミー賞に相応しい熱演。The Constant Gardenerという原題に「ナイロビの蜂」たあ素敵な邦題じゃないかと思ったが、よく考えたら原作物だった。素敵なのは配給会社じゃなくて出版社だ。
御裁断は(最高☆5つ)
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