ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟
子供映画の観客は、もちろん子供と付き添いの親だから、うっかりどちらにも色目を使う作りをしようものなら、虻蜂取らずになってしまう可能性大である。本作はそれを証明する一本と言えよう。
本作の主役であるところの少年は、過去に怪獣に襲われた時に、ペットのイヌを助けにいけなかった事で心に深い傷を負っている。で、その少年がウルトラマンの闘いを目の当たりにする中で、勇気を取り戻していくというのが、お話の本筋である。しかし、ウルトラマンを喜ぶ幼稚園から小学校低学年児までの子供で、そんな辛気臭いキャラクターとこの筋立てに感情移入できる人はなかなか少なかろう。っていうか、そんな子供がいたら怖い。一方、この話は大人の鑑賞に耐えるにはあまりに安っぽい。クライマックスの闘いの途中で目をうるうるさせた少年を俯瞰で捉えたショットが挿入される度に「もうええから」と画面に突っ込む私がいた(というか、ここはウルトラマンの側から少年を捉えるんじゃなくって、少年の背中側から怪獣とウルトラマンを仰ぎ見る、少年の視点ショットにするべきでしょう。どう考えても)。というわけで、どうにも中途半端なのだな。まあぬるさが身上の小中和哉だからこんなものかもしれないけど、本当は割り切ってオトナか子供かどちらかにターゲットを絞った方がよいと思うのだけどな。
とはいえ、お話以外のサービスは盛りだくさんで、ウルトラマンたちがピュンピュン飛び回って光線技炸裂させるのは、子供たちは大喜び。私もオープニングの宇宙での闘いの時は「わー、こんなの見た事ない」と思って年甲斐も無く興奮したりした(一方、クライマックスではいかにもCGでございの画面で、円谷着ぐるみで育ったお父さんとしては、違和感を感じたのだな。これじゃウルトラマンと言うよりドラゴンボールじゃなかろうか)。あと、お父さんたちには、ハヤタたちの昔の映像を挿入したり、エンドタイトルでひし美ゆり子が出てきたり、ザラブ星人が変身したニセウルトラマンを隊長が「目つきが悪い。真っ赤なニセモノだ」と喝破するシーンとか、ツボはちゃんと押さえられている。
まあでも、よく考えてみれば私にしたところで、キレイな映像のウルトラマンたちを大きなスクリーンで見たのは初めてなわけで、全く感動しなかったかと言うとウソだと言う事を恥ずかしながら付け加えておこう。
御裁断は(最高☆5つ)
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