ウルトラヴァイオレット
新種のウィルスに犯されて超人的な能力を身に付けたファージと呼ばれる人たちと、それを殲滅しようとする旧来の人間との争いの中、ファージ絶滅のキーとなる少年を、ファージ側の凄腕殺し屋ミラ・ジョヴォヴィッチが助けだした事から、両勢力から追われる事になって云々かんぬんという設定を聞けば、ほほうX-menチックな世界の話ね、と思うわけだ。しかし、実際見てみると、ファージの口には牙が生えていて、どうも吸血鬼らしい。かつミラ・ジョヴォヴィッチはその中でも日中活動できるデイ・ウォーカーらしく、かつ、ヘタッてくると血液系の何かを腕に注射するところとか、この設定ってブレイドやんか!っていう話。
ところがこの映画、吸血鬼物の設定をほとんど生かしておらず、かつ日本語字幕は意図的にその要素を省いて作られているようで、見ている間はイマイチ設定が良く飲み込めなくて話についていけなくなる(そんなわけだから、吸血鬼物に外れなし、という法則もこの作品にはあてはまらない)。で、エンドタイトルを見るとスタッフはほとんど中国系の名前。ひょっとしてこれって香港映画だったの?だとしたら、このストーリーの壊れっぷりも理解できようと言うものだ。
全編デジタルで撮影されていて、画面にエフェクトが簡単にかけられるようで、人物の顔がとっても不自然にぼやかされていて、肌などのっぺりこん。登場人物みんな薄い透明のシートを顔にかけているようにも見える。ちょっとやり過ぎ。おそらくCGの背景との合成もなんやら不自然な仕上がりである。
もうこうなってくると、何と言ってもガン=カタを作った監督の作品だし、ミラ・ジョヴォヴィッチ様のアクションしか見どころは無いはずなのだけど、でも大勢の敵に囲まれたシーンでも、何やらシャキーンって音が響いたかと思うと敵がバタバタと何故か倒れるという「おいおいそりゃあ手ぇ抜き過ぎでしょう」というツッコミをしたくなるところ多数。あと、ジョヴォヴィッチ様決めのポーズでちょっと体が揺れたりするところもあって、アクションもなんだかかんだか。武器をデータ化して格納して後からいくらでも取り出せると言う設定も、何でも出来ちゃう事になって興を削ぐよね。というわけで、ジョヴォヴィッチ様なら何でも良いと言う奇特な人に限定してお勧め。
御裁断は(最高☆5つ)