ブラッド・ダイヤモンド
私の知っているダイヤモンド業界の知識といえば、常春の国に住む三頭身王子の活躍譚から得られたものがほとんどである。自分の結婚の時も給料三ヶ月分などに煩わされることはなかったし、多分この先も一生ダイヤモンドを手にする機会を持たぬまま過ごしていくことだろう。
であるので恥ずかしながら、紛争ダイヤモンドなるものの存在は今作を見るまでまったく知らなかったことである。内戦の当事者が武器を買うために不正規にダイヤを輸出してガッポガッポ。ダイヤを買う客がいる限り、武器が流入し続け戦乱がやまないという仕組みだ。いや、以前から紛争解決には国境を封鎖して武器が入らないようにして、後は中で勝手にやってくれと言うのがいいんじゃないかと無責任に思っていたわけだけど、資金源を断つ手もあるわけだね。というわけで、世の女性の皆さん、もうダイヤモンドなんてやめましょうよ。不正規ダイヤじゃなきゃあいいだろうって?マリネラでの陰謀の数々を見よ(←冗談なので。念のため)
今作において、紛争ダイヤで武器を買うのは反政府組織なのだけれども、これが集落を襲って虐殺はするわ子供を誘拐して麻薬漬けで少年兵にするわ大人は奴隷にして採掘現場で働かせるわ使えない人は恐怖心をあおるために手を落とすわ、もう無茶苦茶する人々として描かれている。反政府側には反政府側の言い分があるだろうし、政府側もきっと無茶なことをしているのだろうけど、その辺はまったく描かれていなくて、当事者はどんな思いを抱くのかしら?と思ったのだけど、近作の監督は明治時代に騎馬武者と忍者が切りあいをする「ラスト・サムライ」を撮っているわけで、まあそういう人なんでしょう。
でもまあ、サスペンスとしては結構面白くって、反政府軍の攻撃を受けている首都からの脱出行以降は、手に汗握るハラハラドキドキであって、ここのところのディカプリオお得意のラストに落とし込むまで、面白く見ていられた。ダイヤに縁がない私にはまったく罪の意識を感じる余地もなかったしね。
御裁断は(最高☆5つ)
07年に見た映画へ
一覧へ