007/カジノ・ロワイヤル
私はロジャー・ムーア派で、ムーンレイカーでさえ受けいられる人間なので、ダニエル・クレイグが6代目襲名と聞いて、たいそうがっかりした人間の一人なのであります。なんせ「ミュンヘン」の間抜けな役柄の印象が強かったので。でも、開けてビックリ、できてきたものは、確かにそんなに悪くない。パンパンにはち切れそうな自己過信と、ルーキーゆえの不安感がないまぜになった役柄を見事に演じている(どうでもいいが、この手は一度しか使えないわけで、続編とかどうするつもりなのだろう?_。ただし、それをボンドだと言われると、ロジャー・ムーア派としてはどこか座りが悪くてならない。
そもそもボンド映画にはあるまじき二転三転するストーリー展開、ヒロインとの感情的交流、けれん味のない現実的なアクション、秘密基地の出てこないクライマックス。ボンドアイデンティティーはいったいどこにあるのであろうか。これだけ良くできているのだからボンドの名を借りずともよかろうものを。
あと、主題歌はここ数作の中では一番好きなものなのだけど、あのキテレツかつ悪趣味なタイトルバックだけはどうにかならなかったものか。あそこだけ、旧「カジノ・ロワイヤル」を見ているのかと思って、騎兵隊の出現に身構えてしまったではないか。
御裁断は(最高☆5つ)
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