パーフェクト・ストレンジャー
これは製作の段階でどこかが完全におかしくなった作品だと思う。この作品を「誰が真犯人だ?」ものとするなら、唐突に繰り返される、とあるシーンのせいで、開巻早いうちから答えが明らかにわかってしまう。で、こうなってくると一生懸命作り手が仕掛けるミスリードも観ているものには白々しく、早くオチつけてくれないかなあという気持ちになる。ひょっとしたら宣伝の際にこの映画を別の性質のものとして売っていたら、あるいはもう少し最後にサプライズが得られたのかもしれないが、事実は逆で、宣伝でもこの構造上の欠陥をより際立たせる形をとっている。つまりラストのどんでん返しを強調しているのだな。これはまずいでしょう。さらに、この作品の失敗は主役のハルベリーを鼻持ちならないキャラクターにしていることで、観客は彼女の危機に接してもちっともハラハラドキドキしない。ということで、よくわからない作品だった。ブルースウィリスもなあ。
でも、最後のワンカットだけは皮肉っぽくて面白かったかも。でも、このカットからも感じられるのは作り手の作品に対する突き放した態度だ。実はそう言うのって観ているものの作品の評価に大きな影響を及ぼすのじゃなかろうか。作り手が冷めていると観客も冷めてしまうと言う。
御裁断は(最高☆5つ)