キングダム 見えざる敵
最近セミドキュメンタリー風にわざと手持ちカメラを揺らせて緊迫感と臨場感を出そうと言う手法を使う映画が目立つ。思うに、この手を使う人達は映画をモニターの中だけで見ているんじゃなかろうか。ショットのチェックもモニターの中、編集もモニターの中、できた作品もモニターで見るという。でも、映画館にお金を払ってくるお客は大きなスクリーンで見るんだよね。手ぶれ画像は観てて酔うからやめて欲しいんだけどな。緊迫感を出す方法はモニターとスクリーンとで違うと思うんだよね。
というわけで、半分くらいの時間、気持ち悪くて画面から目を背けながら観ていたのでした。だって全編これをやるんだもの。なんとかの一つ覚えといいたくなる。しかし、これが面白いのは、同じブレブレ画像でもアクションシーンではほとんど酔わないこと。カットが短すぎると揺れにこちらの認知枠を合わせていけなくなるからなのかもしれないね。
で、主人公と言うか、アメリカ側のキャラクターが全く描けてないのである。ジェニファー・ガーナーやクリス・クーパーは存在感ゼロだ。いや、ひょっとしたら目を背ける時間の多かった中盤で何か大事な事を見落としたのか?>私。一方、サウジアラビアのカウンターパートはかっこよかった(しかし、「テロリストは倒したぞ」はないだろうよ)。
このお話を第三者から観ると、結局問題の本質は何も解決されておらず、単に主人公の鬱憤晴らしが行われただけに映る。言ってみれば、ランボーと変わらんじゃないかと。もちろんこの作品では、そこを断罪するのではなく、深刻と言うか社会派ぶったトーンというかで覆ってしまい、これをある種の悲劇に回収してしまっているのである。私はそこに大きな違和感を感じた。
御裁断は(最高☆5つ)
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