トランスフォーマー
もし、あなたが12歳から17歳までの中高生の男子なら、この作品は完璧な一本である。なんということはない凡庸な男の子が、突然世界を破滅から救うキーパーソンになって、男気のある巨大ロボットと共に戦い(良いロボットが変身が終わった時、ちゃんと決めのポーズをするのにシビレタ!)、スタイル抜群でへそ出しかつ口が半開き、なのに車を分解できるキレイなネーチャンと良い仲になれるのだから。こんなでき過ぎた話は中坊がベッドでする妄想にも出てきません!話の展開がでたらめな事なんて全く問題ない。男の子の夢に必要な要素が過不足無く盛り込まれている。それで十分だ。で、私も以前はそんな中高生の男子だったわけで、この作品を見て燃え上がらないはずは無い。三つ子の魂百まで。
筋立てとしては機械生命の地球侵略物である。しかも敵は既にいろんな機械に化けて地球に進入していると来た。普通この話なら、敵は前半ほとんど姿を現さず、不気味な現象ばかりが続発するという描写になるのが王道だ。スピルバーグならそう描くはず(宇宙戦争の事は訊かないで欲しい)。しかし、今作の監督はマイケル・ベイであって、そんな古典的でまだるっこしい演出はしないのだな。のっけから出てきた敵が、問答無用で暴れ回るのがオープニングだ。でも、その後の演出は意外と基本に忠実で、良いロボットがなかなか本当の姿を表さない間に、主人公の話、つまり人間側の話を最低限とはいえ描いてくれているので、感情移入もしやすくなっている。それから、主人公の家でメガネを探すところのロボット達のドタバタシーンが、うまく息抜きになっているのもよい。こういうところでも楽しめるとは、見る前には一ミリも期待していなかったので、嬉しい驚きであった。
ロボット達の変形やアクションシーンのスピードが速すぎて、何が起っているのか把握しにくかったのが残念ではある。しかし、あれだけパーツが細かく分かれて変形してしまうと、なんか変身ロボットと言うよりも、大ざっぱなT1000のようなものに見える。T1000の体を構成する金属の粒子だって、まああれは極めて小さな部品のようなものだもの。とはいえ、あんまりゆっくり変身してたら「何でそこで攻撃せんのじゃあ!」と突っ込まれてしまいかねないのだけどね。
御裁断は(最高☆5つ)
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