28週後・・・
ゾンビと言えど生き物だから、食べるものが無ければ飢え死にしてしまう。そんな当たり前の事をキッチリ組み込んだ本作の設定には目から鱗が落ちた。しかも、レイジウィルスは感染力は強いものの潜伏期間がほとんどゼロであるから、現代の人間の大きな移動能力を全くもって利用できない、人の歩く速度でしか感染範囲を拡げられないという欠点があるのだな。病気感染のシミュレーションに良くあるように、もっとも封じ込めが厄介になるのは、病原体が時々でも長距離の移動を行うときなのだけど、その意味でレイジウィルスはそれほど凶悪でもないわけだ。
つまり、蔓延する伝染病を押さえ込もうとする際に、一番気をつけなきゃいけないのは、一見普通に見えるキャリアーである、と言う。今作はそういう当たり前の事もキッチリ組み込んである。よくできた設定と言える。
しかし、そんな設定のリアリティーに対して、ゾンビ禍が再燃する経緯はずいぶんと御都合主義的に見える。そして、再燃後の展開は内容が薄い。もちろん、バイオハザード3やアイ・アム・レジェンドなどその他のゾンビ物はおしなべて内容が薄いのであるが、奇妙なユートピアとその崩壊をゾンビとの戦いの中で描いた前作があるだけに、今作の後半は少しガッカリさせられる。そもそも焼き尽くす必要は無いのであって、また一月ほど待てば収まるはずだ。何を慌てて災厄を拡げるのやら。こうなってくると、ロバート・カーライルがなぜあんなに都合よく出没するのか?というイチャモンさえつけたくなってくる。
御裁断は(最高☆5つ)
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