大決戦!超ウルトラ8兄弟
まあしかし考えてみてほしい。この映画を観に来るのは、小さな男の子とその親しかいまい。で、子供ったって大体は幼稚園児とかせいぜい小学校の低学年だ。平成三部作が放送された時は、まだこの世にもいない。当然小さな子がいないときにウルトラマンを見る暇な大人も少なかろう。ということで、現在の客層にとってティガ・ダイナ・ガイアはエアポケットのようなもの。
そもそも平成三部作は昭和のシリーズとは世界観が全く違うので、これを同居させるにはストーリー上の大きな無理を許容しなくてはならなかったのだけれど、それに見合うだけのメリットがあったかと言うと、3体の区別のつかない私にはよくわからない。
で、そのストーリー上の無理というのは、今作の舞台がウルトラマンがテレビの中だけの存在であるパラレルワールド(というか、現実の世界がそうなんだからややこしい)に設定されている事。そこにウルトラマンのいる世界から怪獣が攻めてきて、メビウスがやってきて、で、ウルトラマンのいない世界でのティガの中の人とかハヤタとかダンとかが「オレはウルトラマンだったんだ」ということを思い出すのだ。あなたはこれまで一度もウルトラマンだった事はありませんってば(と言う設定のはず)。ということで、何とも筋の通らない強引な話が展開していく。何で自転車屋のおやじがビートル号を操縦できるんですか。
こんな設定なものだから、なかなかウルトラマンが出てこなくって、一方人間部分の演出には工夫のかけらもない。これを見たら前作の小中和哉が大巨匠に見えてしまうよ。ラスボス怪獣のデザインも醜悪。大人ファンへの過剰な目配りが媚に見えてしまったり。「ウルトラマンを忘れるな」ってテーマもある意味痛々しいし。。。
御裁断は(最高☆5つ)