イーグル・アイ
予告編を見て、てっきりタイトなスリラーだと思っていた。黒幕はどうやって主役二人をコントロールしていくのかが興味の中心であるという。しかし中身は全く違っていた。黒幕をそう設定してしまえば、そりゃ万能である事だ。っていうか万能であるという設定でお話が始まるのだな。
そう考えると、これは神に翻弄され最後には神を殺す人の寓話であって、そうしてシャイア・ラブーフは大人になるのであったという。ラスト近く、自分の為すべき事を自覚しついにそれを引き受ける事を覚悟し、その結果についても重々理解した顔で、引き金を引くシーン。これはなかなかエモーショナルなシーンであった。
思えばこの監督の前作はやはりシャイア・ラブーフのディスタービアであった。裏窓の現代的解題である前作に続いて、今作は「北北西に進路を取れ」と似た筋立ての中、「知りすぎていた男」のあの有名な設定と演出をそのまま使うという挙に出て、デ・パルマとは少しニュアンスの違う形のヒッチコックフォロワーであると認知されつつあるように思うけれども、でも上に書いたような点で言えば、ちゃんとストーリーをエモーションベースで組み立てていくというところこそが、有るべきヒッチコックフォロワーとして好ましいのであると私は思う。
ビリーボブ・ソーントンがおいしいところをやっていた。私はこの人あまり好きじゃないのだけど、こういう脇役をさらっと演じるのなら、うっと思う事なく観る事が出来る。
御裁断は(最高☆5つ)
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