ゲット スマート
ちなみに「それ行けスマート」は見たことがない。
スティーブ・カレル主演のスパイ物コメディと聞けば、裸の銃的にアホな主人公が大まじめにミッションをこなそうとして全てをハチャハチゃにしていくものだと思っていたら、少し違っていた。主役はなんと有能なのである。ただし現場の捜査官としての有能さとはちょっと違うところが有能という設定なので、ジェームズボンド的に物事が進むわけではない。けれどもスティーブ・カレルはスティーブ・カレルなりの熱心さと、もちろんアン・ハサウェイの力もあって、ミッションを、少し珍妙ではあるけれども秩序を保って進めていくのである。で、コメディの力はその珍妙さから生まれてくるのだけれど、スティーブ・カレルが独特のやり方で物事を解決するところを見るのもとても面白かったりする。こういう筋立ての話、こういう魅力を持つ本作って、実はとってもユニーク。
で、アン・ハサウェイである。正直これまでマシュー・ブロデリックを女性にして20年ばかり若くしたような人だという印象しかなかったのだけど、こんなに魅力的だったとは我が身の不明を恥じるばかり。スティーブ・カレルのキャラクターに対する見事な受けの演技で、別に無くたってどうでも良いような役柄にきちんとした性格付けを与える事に成功。いや、無くたってどうでも良いと書いたが、普通の娯楽作がこの部分を丁寧に描いていると、その効果100倍になるのである。この映画の魅力の8割はアン・ハサウェイの功績であると言っても構わないと私は思う。それにつけても、スカイダイビング中敵に襲われて危機一髪のところをああやって救うとはなあ。素晴らしいアイデアだと思う。しかも伏線になってるし。
というわけで、私はこのどうでも良い作品がとても好きなのである。
御裁断は(最高☆5つ)
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