ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-
都会でずっと生活してきたものにとって、田舎のあの何とも言えない停滞した雰囲気、一見の人に対する閉じた態度、物事を良くしようと、いや物事が良くなるなどと考えない事は、いらいらの種だ。私もそうだった。で、田舎で数年暮らした結果、なぜそのような状態になるのかわかった。田舎は既に満ち足りているからだ。だから物事を改善する必要はないし外部かく乱要因とは極力関わりを持たないようにする。わかってみれば非常に合理的。だから、都会人もうっかりすると、というか、内部に入れてもらいさえすれば、田舎でも一向に構わなくなる。良くわかる。
今作はまさにそのようなお話で、警察映画のような装いだけれど、別に主人公は左遷されたエリートサラリーマンでも一向に構わない。警官を主人公にしたのは、単にスーパーマーケットの攻防戦がしたかっただけなのかも。で、そういうところにやや焦点の定まらない感があって、もちろん最近のハリウッド映画に横溢しているような退屈さはなかったのだけど、「ショーン・オブ・ザ・デッド」を見た後の「濃いもの見たなあ」というところまでは至らなかった。サイモン・ペッグがスーパー警官である、という設定をなかなか受け入れられなかったのも私の敗因かもしれない。だって、似合わないでしょ。でも、連続殺人の動機についての都会人たる主人公の見方と田舎の犯人側の真相とのずれは面白く身につまされた。この映画は都落ちの経験があるかないかで見方がだいぶんと違ってくるように思うがどうか。
それから、最後のミニチュアの街での格闘シーンは面白かった。普通の人間の格好をしていても、ちゃんと怪獣に見えるものなのだなあ。
御裁断は(最高☆5つ)
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