フィクサー
私はティルダ・スウィントンは「バニラ・スカイ」と「コンスタンティン」と「ナルニア国物語」と本作で観ているわけだけれども、もう完全にある種の偏見が出来上がってしまっているわけだ。禍々しいと言う。
本作ではそのティルダ・スウィントンのキャラクターが強いプレッシャーを感じて生きている様をいやっちゅうほど描写していて、「なるほど彼女にもそうせざるを得ない理由があるんだな」とは頭ではわかるわけだけれども、やはり観ていて「神経に触るキャラだなあ」と感じてしまう。で、彼女は悪役なのだけど、決して力を持った悪では無いので、ラスト、ジョージクルーニーが事件の決着をつけるところでは、正義の鉄槌が下された、というカタルシスと言うより、苛々するキャラが苦境に陥ったぜザマアミロ、と、なんというかイジメの加害者的な気持ちになったりする。こういうのって少し変わった後味だと思う。
この映画の本筋は八方塞がりに陥った男が自暴自棄気味に筋目を通すというもので、その点でもカタルシスと言うよりか、もともと渋い話なのである。予告編から想像される丁々発止のサスペンスというのはだいぶんと違った。
トム・ウィルキンソンの頭のおかしくなり方というのがリアルだった。普通の容姿の何でもない田舎のおねえちゃんに美しさを感じてゾッコンいれこんじゃうところ。確かにあれはいかれてる。
御裁断は(最高☆5つ)
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