Mr.ブルックス〜完璧なる殺人者〜
この映画は、ケビン・コスナー扮する富豪のシリアル・キラーを主人公とするものであって、ことさらに殺人をドラマティックなものとして描いてないのが大人の雰囲気を醸しだしていて良い。設定の説明上どうしても必要な最初の殺人以外は、直接的な描写は極力避けられていて、その準備段階も淡々とルーチンワークをこなすみたいに描かれているのだな。これはつまり殺人はマクガフィンなのであって、別にその事が特段に描きたいわけではない。そういうところは同じシリアル・キラーを主人公にしているとはいっても、ハンニバル・レクターシリーズとは全く違うところなのだと思った。
じゃあ、この映画の本質は何かというと、ひねりにひねったバディ・ムービーなのだと思う。しかも、ケビン・コスナーとウィリアム・ハートのバディ部分と、ケビン・コスナーとデイン・クックの部分は、重なり合って進行すると言う。なんてユニークな構造を持っているのだろうかしら。感心した。
それに比べるとデミ・ムーアのパートのアクション過剰ぶりは、どうも全体の調和を乱しているような気がするのだがどうだろう?こちらの側にも苦境を用意するというのは、私的には全くアクセプタブルなのだけど、描き方としてはもうちょっと渋めの方が良かったのじゃないかと思う。あんまり渋すぎると売りがなくなるという営業上の配慮だったんですかね?
ラストの一捻りは、これまたユニークで面白いシーンなんだけど、私的には無くても良かったような。ビルの上から携帯落とすところで終わってたら、最高にかっこよかったんだけどなー。でも、あの一捻りはシリーズ化への伏線なのかしらね。
御裁断は(最高☆5つ)
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