ノーカントリー
まあ、圧縮空気ボンベを持ったおかっぱの殺し屋に狙われなくたって、明日テロに会うかもしれないし、大地震だってありうるわけで、もちろん深海から怪獣が上陸してきてもちっともおかしくない。ひょっとしたら交通事故にさえ会うかもしれないのだ。だから、この映画は怖いと言えば怖いのだけど、怖くないと言えば怖くない。アントン・シガーとモスが写し絵になっている事や、ぼやくだけでお話とほとんど絡まない保安官の存在意義など妙に頭に残る所は多いのだけれど、この怖くなさ、というかコーエン兄弟の映画にはいつも感じるこの感情の喚起されにくさは、私をして今一つ乗りきれなさを感じさせるのである。いや、非常に微妙な部分での趣味の合わなさに不満を述べているだけであって、決してこの作品が出来が悪いと言っているわけではないのだ。ただ、なんだろうか、違うんだよ。
御裁断は(最高☆5つ)
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