ハプニング
前作の「レディ・イン・ザ・ウォーター」を見て、私は贔屓の引き倒しである事を重々承知の上で、シャマランを全力で擁護した。で、今回もこのスタンスは変わらない。というか、「見ていられる」という点では前作よりましになっていると思う。それはシャマランが作り出す雰囲気と今作の物語がマッチしているからなので、ある意味では彼の後退を意味しているのだが。。。いつまでも我が道を行って誰からも映画を撮らせてもらえなくなったら困るので、それは仕方ないだろう(とはいえ、この懸念は益々高まっているのだが)。ただ、ひょっとして「残酷シーンてんこ盛りにすればヒットするさ」って思ってるんじゃないかと邪推しないでもない。そうではない事を祈りたいところだ。
で、今作でもシャマランには明確に語りたい事がある様子。惜しむらくは、いくつもある語りたい事(家族の危機と再生、人間の傲慢と自然の関係、狂気と紙一重の自立性)が、羅列的になっていてスムーズに繋がっていない事。やっぱり脚本を自分で書くのはやめて、よくわかっている脚本家に任せた方がよいのでは。
一方、映像の方は変わらぬシャマランの刻印があらゆるカットに刻まれている。今のハリウッドでこれだけ映像に個性をこめられる作家がいるだろうか。いやいない。今回は渋滞した道路で足下だけ映しながら次々と起る事態を描くところとかゾクゾクした。こちらはこの調子で進めてくれれば、前作の感想の時にも書いた「いつか来るべきシャマランの傑作」に近づけると言うものだ。
最後にどうでも良い感想を幾つか。マーク・ウォルバーグにジョン・レグイザモってどう見ても先生じゃないだろう、って思うけど、レグイザモみたいな先生って意外とよくいるのかも。それからウォルバーグの妻役の人の演技が変だ。ありゃ一体何なんだ?
御裁断は(最高☆5つ)
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