ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー
男の子にとって、女性の心理は永遠の謎である。男の子もそのうちオッサンになるので、個体レベルで見ると謎は永遠には続かないんだけどさ。それはさておき、どういう時に謎だと思うかと言うと、それはもちろん女性が怒っているのに、その理由がさっぱりわからない時だ。始末の悪い事に、「なぜ怒っているのか?」と聞こうものなら火に油を注ぐ訳で、君子危うきに近寄らずという老人の知恵を知らぬ青春一本調子な若者には手のつけられない事態になる。
という事を、異形の者たちを使って描いたのが今作である。上段で書いた事は、大体の大人には、言われなくてもわかっている事なのだろうけれども(っていうか、人にとっての真実なんて、そんなにたくさんはないのだから、年を取れば自然にすべて把握できてしまうものかもしれない)、人ならぬ者たちでさえそうなのか!と思う事によって、新たな感慨を持って再認識する事ができる。つまり古い酒を新しい革袋、というのが肝だ。ヘルボーイとエイブがそれぞれ女性との関係に当惑して、こんなときはビールだ!と飲んで「Can't smile without you」を唄うシーンは心の深いところを穿つ近年稀に見る名シーンだと思う。これだけで1200円分の元は取れます。
それだけではない。オープニング、今作の設定であるところのエルフと人間の因縁を語る部分をマリオネットで表現するというところから、まずノックアウトされる。そしてトロルの市場他に出てくる化け物たちの密度の濃さ(たくさん出てくると言う意味でも一匹一匹の面白さと言う意味でも)も素晴らしい。エクトプラズム人間だって熱いよ。セルマ・ブレアはちょっと老けてきたけど、私はいつまでも好きだ!
御裁断は(最高☆5つ)
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