フェイクシティ ある男のルール
キアヌ・リーブスは大体において駄作に出演し続けているのだけれども、ときどき極めて大当たりの作品(といっても、スピードとマトリックスだけだが)に出るという、三振かホームランかという俳優だと思う。今作は、そんなキアヌには珍しいクリーンヒットの作品。
というわけで、今作は上から下まで腐っているLAPDで、うっかり正義に目覚めてしまったおかげでひどい目に遭う男が主役の話。ジェームズ・エルロイ脚本だから、いつもの話と言えばいつもの話であり、最後に明らかにされる黒幕もキャスティングを見れば最初から明々白々という、これは観客も伝統芸と分かった上でその世界に入り込む事が目的の作品である。思うにキアヌは決して演技派ではなく、いやもっと直截に言うとダイコンの類であるからして、それが逆にこの手の様式芸術には上手くはまりこむのかもしれない。
それにしても、キアヌの行くところ死体の山が築かれる二時間である。敵味方入り乱れて死ぬ死ぬ死ぬ。このまま100年くらいほっておけばLAから人間が一掃されるんじゃないか?という勢い。地味な作品に見えるけれども、この主役の殺人マシーンぶりは図抜けていますぞ。
ところで原題はStreet Kingsと複数形。だから、これは劇中でキングと呼ばれる人の事を単純に指す訳じゃなさそうだ。悪徳警官ども、てな意味なのだろうか?
キアヌとフォレスト・ウィッテーカーの他は、アメリカのテレビドラマで良く見る顔が並んでいた。
御裁断は(最高☆5つ)
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