movies I saw in 96
96年に見た映画
95年の「最近見た映画」も見てみたいという奇特な人はいますか?
さて、名古屋JPかわら版、商店街の中に名古屋シネマテークという映画館があります。
ここからが本題
チェーン・リアクション
どうでもいいけどシカゴってのは本当に寒そうな街だねえ。さて、今作は清潔で安価で無尽蔵なエネルギー技術(何かというと水素だという。いや、爆弾じゃないよ。水から水素を作ってそれを燃やしてエネルギーを取るの。永久機関みたいでしょ)の争奪戦です。お話の半分くらいまでは全く話が見えません。なぜだかは主役のキアヌ君にも観客にも全くわからぬまま大爆発が起こって(これがまた核爆発みたいなんだもん。でも、このシーンは一見の価値あり)、博士は殺されるし、25万ドルはあるしで、とりあえず、キアヌ君走りだします。で、ネタが割れるとああ、こんなもんだろうというところなのですが、とにかく舞台を変えてお話しが走る走る。ずさんな脚本をパワフルな演出と小技を効かせたエピソード(駅での車掌のちょっとしたセリフなどのおかげで、私不覚にもあのシーンで感動いたしました)でつないで最後まで見せてくれます。さすが「逃亡者」の切れ物アンドリューデイビスです。こういう映画を見るのが、僕の様な映画ファンの醍醐味です。
それにしても、基本的には需要に対する供給不足が本質であるところのエネルギー問題を、テクノロジーによって、すなわち、需要の問題は全く無視して供給量の増大のみに解決策を見いだそうというのが、単純な科学礼賛というか、おめでたいというか、まったくもう。
ところで、一番最後タイトルが終わった後に出てきた地下爆発シーンの空撮、あれの意味を誰か僕に教えてくれませんか?気になってしょうがない。
御裁断は(最高☆5つ)
D.N.A.
D.N.A.といってもドクターモローの島(アイランド)の略ではもちろんなくて、デオキシリボ核酸の略ですね。そうですね、このタイトルは例えていえば「坊ちゃん」を「新米教師-熱血篇」というタイトルで映画化したようなものです。
それはともかく、前評判ほどつまらない映画じゃないです。ジョンフランケンハイマーが、お得意のテーマ(「争いはばかばかしい」なのだが、最後の挿入はやり過ぎよ)で、この古典的名作を映画化しているですから、ある程度の品質は保証済みのようなもの。他にも人とは何か、神とは何か、倫理とは何か、正直色々考えてしまいました。原作が出版されたころ(ちなみに、あのタイムマシンのH.G.ウェルズ原作なので、前世紀末)のイギリス社会の問題ってそんなに深刻だったんだろうか?今の日本の社会もきっとおんなじくらい深刻なんだぞと、映画館からの帰り、夜の街を歩きながら考えてしまいました。しまった、フランケンハイマーの手のひらで遊ばれている。
ところで、今回ウィラード大佐もとい、ドクターモローを演じているのはマーロンブランド、あんまり科学者らしくないのはご愛嬌。ヴァルキルマーはひょっとしてピッ君に影響されているのだろうか?役者といえば、主役の人のふにゃふにゃ演技はいただけないなあ。君は狂言回しなんだから、出来るだけ目立たないようにしてお話に集中させてくれないとなあ。
ところで、D.N.A.といえば、最近流行っているあの歌、僕の頭の中で延々鳴り続けています。誰か止めて欲しいんだけど、気持ちいいから本当は止めて欲しくない(関係ない話でごめんなさい)。
御裁断は(最高☆5つ)
エグゼクティブ・デシジョン
おおっ!面白い。いたずらに派手なアクションや爆発に頼らずにシチュエーションから生まれるサスペンスを盛り上げる映画は好感度大だっ!!でも最後のシークエンスは余計ね。ちょっと現実感が飛んでっちゃった感あり。
それにしても、おいらのご贔屓、スティーブンセガール、何で君こんな役をやりに出てきたの?さっぱりわからん。
御裁断は(最高☆5つ)
ザ・ロック
ストーリーの必然性が弱いのは最初意外だった。設定は最高なんだけど、ダイハードみたいな緻密なアクション物語が展開するのではない。でも、この映画の魅力はそこにあるんじゃなかったんだな。三者三様の男の魅力の映画。また、かっこよく撮れてるんだ、三人とも。「自分はたった独りでも、心の中にある何かに全力を傾ける」これが男の美学でなくしてなんだろうか。自分の軸がぶれてる僕は、ちょっとだけ救われた。ところで、ダイハードでは男は1作目を評価し、女は2作目を評価する事が多いように思う(3は論外)。これはジョンマクレーンの孤立度合と相関するというのが僕の仮説だが、いかなもんでしょ?
脇役陣に一言、エドハリスの副官がかっこよかったなあ。ぎりぎりの瞬間まで迷う!でも、最後の選択の基準は、損得を越えて心の中にある!!しびれましたね。マイケルビーンも相変わらず役立たずを演じてたけど、こいつも男!
それにしても、最後にあんないいものが手に入るんだったら、死にかけた甲斐もあろうというもの。
御裁断は(最高☆5つ)
魅せられて
ツイスター
ああ、うるさい。竜巻の音がうるさいのはしょうがないとしても、あの、登場人物達の不必要なまでのわめき倒し、狂躁状態には科学文明の不遜を感じる。大体あいつら、いうたら竜巻オタクやで。髪の毛一本たりとも感情移入できへんわ。で、唯一まともなキャラクターが途中退場にするに至ってはもうむちゃくちゃ。はよ上映おわれへんかなーって感じ。リアリズムかなんか知らんが、カメラをよく振るからちょっと気持ち悪くなったし。もう全員巻き上げられて二度と帰ってくるなぁ。
ハァッハァッ。
さて、
ヤンちゃんにお願いして、うっとうしい人間のシーン全部カットして、車が飛んだり牛が飛んだり竜巻の映像だけ15分くらいにまとめてもろて、オムニマックスシアター(よく博覧会にある全天周映像の劇場ね)で、お代500円くらいで公開してもらおうよ。ね。
御裁断は(最高☆5つ)
イレイザー
シュワちゃんといえば、最近は自分の無敵ヒーローのキャラクターを逆手にとった構造の映画を連発していたが(「ラストアクションヒーロー」と「トゥルーライズ」の事ね、この2本はいずれもパロディ的とも言える無敵ヒーローを設定して、そのうえで如何に弱点を付与するかという点から発想した映画だと思う。シュワちゃんが如何に自分を客観視できているかの証拠だと思う。客観視はユーモアを生んで、ユーモアがほどよくあると、この手の映画はとても楽しい。わかったかい、トム君)、今作は久々とも言える正統的アクションになっているのです。なかなかよい出来で楽しめるね。この夏何も考えずに洋画を見るなら、これに決まり。ジェームズカーンの悪党っていいわ。ひたむきな悪党って感じ。
FBIの証人保護プログラムって言うのは、いわば一度死んで、別人として再生するという理解でいいと思うのだけど、こう、この映画では死と再生を経たものだけが善玉なのね。「これがアメリカ社会の病巣を的確に表している」というわけではもちろんなくて、アクションの連続に一息抜かせてくれるいいスパイスになってる。おいら好きやね、あの組合の連中。
しかし、予告編は半分以上のショットをわざわざ撮影してるということがわかった。そういわれてみれば、あの予告編はなんとなく本編で使うにしては雰囲気がわざとらしかったものなあ。
ちなみに、おいらが一番好きなのはパラシュートの向こうにゆっくり旋回する飛行機のシーン。なんとなくのどかで(本当は緊迫してるんだけど)、いいんだ、これが。
御裁断は(最高☆5つ)
悪魔のような女
このページでは、映画の感想を書いているのだが、この手の映画はストーリーをしゃべれないから、感想も書きにくくて困る。ええと、12、3年前に見たあの映画(これもタイトルをいうと、ネタばらしになるからなあ。何のことか知りたかったらメールください)があるもんだから、どうしても本作は古風に見える。古風な映画というのは基本的に好感度大なのだが、少し刺激不足になる感もある。
これじゃあ何のことかさっぱりわからないなあ。しょうがないからあまり本筋から関係ない感想を書こう。こう、男と女っていうのはどうしてこの映画みたいに別れにくいんだろうなあ。端から見てると誰がどう考えても別れるしかないっていう関係でも、どうしてだか別れられないというケースがよくある。きっと、端から見ているだけではわからない何かがあるのだろうから、端から介入するのはおせっかいだよね。例えば、夫に暴力を振るわれても我慢する妻っていうのは、やっぱりそこに何か幸せを感じているのだという見方がある。この見方が真実を言い当てているかはわからないんだけど、でも、だからといって「妻は弱い立場で憶病だから逃げ出せないだけなのだから、周りは助けてやらなければいけないのだ(例えば、夫を殺すとか、、、おっといけない)」という見方には賛成できないな。だって、その人に失礼じゃない?そういう見方って。「君の考え方はあるべき姿から外れている。私たちが助けてあげよう」って、尊大な感じがする。
ところで、この映画はアンリクルーゾーの映画のリメイクなのだが、邦題が昔と同じなのはとてもよろしい。リメイクは原題のカタカナ書きなんて野暮なことだしね。
御裁断は(最高☆5つ)
ガメラ2 レギオン襲来
電線のリアリティ。日本は電線の国なんだ。子供の頃4階建ての小学校から町(僕の生まれ育ったところは新興住宅街で高い建物がないので、学校がいちばん高い建物だった)を見渡して、「電線がなかったらどれくらいすっきりするだろう」と、思ったものだ。しかし、今や電線はリアリティを裏打ちするくらいに意識に染み付いてるんだなあ
前作よりずっと自衛隊の存在感が増して、さながら戦争映画みたい。日本版ID4といったところか(なんて偉そうにいっているが、もちろんID4はまだ見ていない)。ガメラの正体が既にわかっているので今回は物語が単線的。これは続編ということで致し方ないところ。脚本の出来や、ディテールの作り込みなどは前作ほどではないように思えるが、しかし前作よりもっと楽しめるのである(前作があれだけの作品なのだから今作も面白いという事、いわずもがな)。これは、映画の持つ構造が単純で昂揚を生みやすいせいもあるだろうけど(ちょうどエイリアンの1と2の関係と同じ。そういえば、レギオンはアリやハチの社会性昆虫がモチーフだから、そういう意味でもエイリアンと似ている。レギオンのアリの側面をもっと強調して、自衛隊ともっと銃撃戦するとか、人間が体を使って活躍するところがもっとあればなあとも思うが、そうすると本当にエイリアン2になっちゃうかな。ん?と、いうことはガメラ3はフィンチャーみたいになるのかあ?いやだぞ、それは。)やっぱり重要なのは中山忍と水野美紀の違いだろう。表情の幅の広さが一桁違う。ああ、彼女はむちゃくちゃきれいになったね。ミニスカートでサービス一杯だし(でも、おいらがいちばんどきどきしたのは科学館のミニスカートにブレザーの制服に合わせていた白い大きなスニーカー。ところで彼女大柄なんだね)。後半出番が少なかったのが残念。
それにしても、養老孟司がレギオンを解剖して、あまつさえセリフさえしゃべるとは思わなかった。東大やめて何をしてるかと思ったら、こんなところにいたとは。
御裁断は(最高☆5つ)
12モンキーズ
デジャヴュという現象がある。この映画のテーマの一つはデジャヴュだ。人は同じものを何度も形を変えて見るのだ。このうち同じものを見ている要素がデジャヴュとして現れる。「違うものを見ているはずなのにどこかで同じものをもいた覚えがある。」そして、形を変えたものを見る要素は、現実の不確実さというこの映画のもう一つのテーマにつながる。「同じものを見ているのに違う。何が本当なのだろう」と。ヒッチコックの「めまい」が劇中に登場し、あろうことかマデリーンストウがキムノヴァクになる(しかも音楽まで使って)。この瞬間、僕はデジャブを見、現実を失い、ブルースウィリスと同化した。この映画の全てが突然頭の中でスパークして、頭がくらくらした。これだけで、僕にとってこの映画は傑作になった。
そして、輪は閉じる。輪が閉じる喜びは永遠の喜び。しかるに輪が破れる喜びは唯一の喜び。唯一だが永遠なものがないわけでは無いと思うが、今回はそうではなかったようだ。この点をどう思うかは趣味の問題。
ところで、セルラーホンのおかげで、関西ではピッ君はすっかり人気者だが(CMを見ていないと思われる非関西圏の人に補足しますが、関西で人気者ということは、いうたら「アホ」いうことです)、この映画でますます人気が出るのだろうか?
御裁断は(最高☆5つ)
ミッション・インポッシブル
とりあえず、デパルマは当代最高の映画監督やね。ハリウッドでこういうくらくら来る映画をさらっと作ってしまう。最後の大アクションは御愛嬌として、それまでに至るシーンのカット一つ一つがまさにデパルマ節。ヒッチコックのパクりは、最近なりを潜めていたように思えていたが、今回トム君を隠れみのにしてか、めちゃくちゃやってたぞ。そういえば、TBSでプロデューサーやってる知人(下を参照)がヒッチコックを称して「あんな、貧相な映画のどこが面白いねん」といってたが、この映画もその系列にあるから、見せ場の連続という「スピード」のような映画ではない。だから、きっとこの映画も前評判ほど面白くないなあと思う人もたくさん出てくると思う。まあ、そんな人たちはとりあえずほっといて、この映画を見て、「面白かったけど、何で面白かったか今一わからない」と思った人はヒッチコックの映画を見なさい。きっと楽しめます。そして、映画でどのように緊張が生み出されるか、画面の中の被写体の配置がどのように私たちの心をどのように動かすのかをを考えてください。
それにしても思うのは俳優の持つ資質です。この映画主役がトム君じゃなくてチャリ坊(チャーリーシーンの事、念の為)か、エミリオエステベス(チャリ坊の兄貴、この映画ではエレベーターで細工をしてた俳優。それにしても贅沢なキャスティングや)だったらすごくよかったろうになあ。荒唐無稽な話とトム君のしかめっつらとは今一フィットしない感じがした。まあ、おかげでヒットするんだろうけど。やっぱりギャルちゃんたちで一杯だったよ、金曜の劇場だというのにね。ジェームズスチュアートが生きてたらなあ(まだ生きてるって(生きてるよね?心配になってきた))。
ところで、あたしゃ一度でいいからエマニュエルベアールのとがった唇に触れられてみたいなあ。
御裁断は(最高☆5つ)
フロム・ダスク・ティル・ドーン
ずっと避けてたんだけどついにタラちゃんものを見てしまった。おいらFM802のQTNも行ったし。縁があるんだね。一言でいうとサイコか。前半サスペンスで、後半ホラーなのだが、後半については何もいうまい。ホラーにしてみれば凡庸。吸血鬼というよりはゾンビだもん。構造的に面白くするにはいかに前半伏線を張るかだが、前半は別の映画だしなあ。最後のオチも不必要。前半は面白いね。タイトルはかっこいいし、音楽の使い方もうまい。全体的にうまさが目に付く。しかし、おいらはああいうイキり方は趣味じゃないなあ。そういえば昔、おいらが自主製作映画作ってた頃にああいうイキった趣味の作品を作るやつがいて、今じゃ立派にTBSでプロデューサーやってるなあ。受けるんやなあ。ああいうセンス。ところで、タラちゃんって、ダーティーハリーの1作目の悪役ぐらい気色悪いね。
御裁断は(最高☆5つ)
ヒート
なんというか、デニーロの悪役はもう見飽きた感じかな。おいらは、パチーノの方が好き。でも、パチーノの役の方が割が悪いね。目ぇ剥いて怒鳴るだけだし、いまいち精彩感じなかったな。ところで、この監督、面白い映画をとってきてる割には不遇だよね。ラストオブモヒカンなんてすごくいい映画だったのに、評判になったわけでもない。あの映画とこの映画をつないで考えたら、監督がロマン指向があるのがわかる。今回も主要な男みんなに女を配して、それぞれドラマ作ってるしね。でも、今回に関していえば蛇足に思えるな。これで3時間は長いわ。おかげで途中で尿意を催して、集中できんかった。だから、本当はいい映画なのかもしれんよ。でも、おいらはもういいや。ほんとは期待してたんよ
御裁断は(最高☆5つ)
サドンデス
アクション映画食いはこの手の映画をダイハードヴァリエーションと呼んで珍重しますが、ヴァリエーションというものは何か付加価値が必要で、この映画の場合何が付加価値かというと、まあ、主人公がジャンクロードヴァンダムだということもあり、格闘で相手を倒すのですね。何十人殺したか知らないが、銃で倒した敵は最後15分の5人くらい。後は、色々舞台の小道具をたくさん使ってましたね(それはそれでヴァリエーションとしては面白い)。で、2つめの付加価値は心に傷を負って息子にも尊敬されていない父親が、父性や男性を取り戻す過程を描いているという点です。主人公がジャンクロードヴァンダムなのにですよ。お客さん。やっぱ、緊迫したストーリーの中であのプロットだけは余計でしょう。
編集が下手でしたね。とにかく。もうちょっとうまくできそうなもんだ。
御裁断は(最高☆5つ)
マネートレイン
私生活で色々あって、久しぶりに見た映画。心が癒されました。こう、最近の子供は一人っ子が多くて可哀想だよね、子供は3人欲しいなっていう感じの映画。
何がびっくりしたかって、4時40分からの上映を見たんだけど、見終わって劇場に人が一人もいないんだもの。もう一回上映あるはずなんよ。こういう、アクション映画を装っているけど、本当はちゃうねんでっていう映画はどうして日本じゃヒットしないんだろう。いい映画なのになあ。思うに、宣伝の仕方もあるんだろう。アクションが本質の映画じゃないことは、見ればすぐに判るのに、アクションってコンスタントに客が入るのかなあ。いい映画だったら、正直に宣伝してれば口コミでヒットすると思うんやけどなあ。甘い?、配給会社の人はお客を信じてないのかね。お客も悪いのかなあ。
さて、「この映画を見て、大林宜彦の「ふたり」を思い出して感動してしまった」という僕の感想を聞いて、この映画に興味を持った人いますか?忠告します。きっと、誤解しています。どういう誤解かはこの映画を見ると判ります。
それにしても、ウェズリースナイプスは本当にかっこいい。何度もいうけど、XXXXデンゼルワシントン、loveウェズリーちゃん、やね。
こういう形の映画が理想型。ストーリー部分がもう少しきちんと作りこんでたら、☆5つも夢ではなかったが。
御裁断は(最高☆5つ)
セブン
暗いなあ。フィンチャーを衒学趣味と評した人もいるけど、何でこんな映画がヒットするんだろう。ひとえにブラッドピットか。ところで、衒学趣味も4人目の殺人辺りから減速してきて次第に凡庸になり、特に嫉妬の殺人なんかこじつけもいいところ、スタイリッシュに作っているつもりだろう監督のこの辺りが限界か。一度でいいからこの監督にコメディとってもらいたいなあ。それともこの人永遠のマンネリズム監督になるんだろうか。ところで、オープニングとエンドタイトルのあまりのかっこよさに、いつもより☆一つ多くさせてもらって、
御裁断は(最高☆5つ)
ブロークン・アロー
暇つぶしで「モータルコンバット」を見て、あまりの出来に(下を参照)思わず同じ建物の別の劇場に入ってみてしまいました。大変面白く感じたのは比べてみたからでしょうか。いえ、決してそうではないですね。こういうのが面白い映画ですよね。息も尽かせず色々な見せ場をつなぎ続ける。「スピード」を思わせると思ったら脚本家が同じだそうで。でも、あの映画は見終わって疲れたけど(詰め込みすぎのせい)、この映画は「ああ、一仕事片づけた」という終わった後の壮快感がありましたね。2時間前に映画が始まったときのことがすごく遠いことのように感じられて懐かしささえ覚える。ヒロイン役の人も僕はこっちの方が好み。こりゃ見といたほうがいいや。ところであのマイケルJフォックスに似た俳優さん途中から出てこなくなったけどどこ行っちゃったんだろう。脚本の枝葉ですね。
それにしても、最近の映画は「トゥルーライズ」にしてもそうだけど、核爆弾を簡単に爆発させすぎなんじゃないの?
御裁断は(最高☆5つ)
モータルコンバット
ふにゃー。コンピューターゲームの映画とは。ストリートファイターくらいなら流行ってるからおいらでも分かるけど、アメリカで流行ってるゲームの映画化なんてちゃんと言といてくれないとわかろうはずもないやんけ。それならそのつもりで見るのになあ。予告編見たら派手な画面作りでテンポよくアクションシーンがつないであったから、これはひょっとしたらB級映画の拾いものに当たるかもしれんと思って見たのよ。どうせ、この時は暇つぶしだったし。そしたら、もうトホホ。アクションのできる俳優を使ってるもんだから、ドラマ部分の所は目を被う出来。して思えばストリートファイターなんか立派な俳優を使っていたもんだ。まあ、見ちゃいかんわ。あ、でもアクションはそこそこよ。ところで、クリストファーランバートって借金でもあるんかいな。ハイランダーやらなくなったと思ったら、今度は神ですか。好きなのかな、こういうの。平田昭彦みたい
御裁断は(最高☆5つ)
暗殺者
ああ、面白かった。リチャードドナーさん技術だけで作りきったって感じの映画(だから、誉めてるんだってば)。いや、それにしてもアクションのディテールがきっちり効いてて楽しめましたわ。脚本もよく練れてるしね。ディテールがしっかりしてるからシーンシーンにのめり込んでしまえて、で、ストーリーを大きく降られると見てる方はびっくりする。良くできてる。やっぱりこの映画ってタランティーノの影響が強くあるんだろうなあ。リチャードドナーならめざとく取り入れるぐらいするやろうしなあ。それにしても今ちょっと反省してるんだけど、ちゃんとタランティーノ見とかなきゃいかんな。どうも、分析が歯切れ悪い。
さて、ここで話は変わって反復について。歴史は繰り返すといいますが、日本人は輪廻転生が好きだから、例えば大林宜彦のように残酷なまでに反復する映画を平気で作ったりする。でも、西洋の人(アメリカかな?)は反復を打ち切る映画を作る。反復にとらわれた者は負けるのですね。でも、考えてみればこういう映画ができるって事は西洋の人だって反復性にとらわれてはいるのですね。逃げようとしているけれど。
それにしてもバンデラスを見るのにわざわざこの映画を選ぶ僕って一体、
御裁断は(最高☆5つ)
暴走特急
お馴染み十三のごんぶと親父スティーブンセガールの大暴れ映画。あたしゃ高校時分十三(ちなみに関西に詳しくないひとのために補足しますが、十三(じゅうそうと読む)というのは大阪市北部に位置する庶民的な歓楽街でセガールは昔そこで合気道の道場の師範だったそうな。で、出来た娘はいまやガメラの主役(ガメラ本体ではないよ。念のため)にまで成長したとさ。そんなわけで当人大阪弁べらべらやそうな)に通ってて、きっとあいつともすれ違ってたんだろうなあ。いやだなあ、あんな怖い親父と町ですれ違うのは。
ところで、この「沈黙の戦艦」の続編、どうしてこんなに出来るのが遅れたか、映画を見て謎が解けました(ちなみに「沈黙の要塞」という作品は日本側で勝手にシリーズの続編みたいにされてしまったが、本当は縁もゆかりもない作品。本作が正当な続編。原題もUNDER SIEGE 2やもんね)。なんせほとんど沈黙の戦艦と同じなんやもん。ストーリーの構造が似てるのはいいとして、小道具の使い方とか悪役のアクとかディテールもうりふたつ。さすがにこれだけ似てる続編を作るにはヒットした前作からしばらく間をおいて、観客に細かいことを忘れさす必要があるもんなあ。でも、待たせたかいがあって見てると楽しい楽しい。ああ、前と同じやと思っても楽しいもんは楽しいねん。スペースマウンテンなんかディズニーランドにいったら必ず乗ってまいますがな。それといっしょ。ところで、2つ気になる点が。どうしてセガールはアクションする前必ず口をへの時に曲げるのでしょう。それから姪御さん役の女優さん、安室奈美恵と何か係累があるのでしょうか。
御裁断は(最高☆5つ)
007 ゴールデンアイ
申し訳ない。白状します。途中で寝てしまいました。いや、決してつまらないんじゃないよ。いつもの007だもん。敵の基地も秘密兵器も最初のアクションシーンが一番おもしろいこともぜーんぶ今まで通り。違ったのはMがマダムだったことくらい(でも、これはちょっとショック)。いやあ。面白かったよ。アクションシーンも派手やし。007ということでこういう映画の作りが許されてしまう(ほめてるんですよ)のだからブランドは重要ですなあ。ところで、こないだ電車に乗ってたら10代前半と思われる女の子達が「007?何それ?ホラー映画?」といってたのには、はらわた裏返ってしまいました。とはいえ、あたしもリアルタイムで知ってるのは「ムーンレイカー」以降でジェームズボンドはロジャームーアが一番しっくり来るんだからあんまり人のことはいえないか。
御裁断は(最高☆5つ)
ストレンジ・デイズ
21世紀云々についての野暮なことはこの際問わないことにしましょうね。映画のディテールにリアリティーを求めるのは野暮の骨頂ですがな。
さて、本作のプロデューサー、ジェームズキャメロンが、愛を語りたがっているのはいつもの事だけれども、彼の才能は悲しいかなアクションやサスペンスにあるんですよねえ。ターミネーターやエイリアン2が傑作なのは、あくまでメインストーリーは本当のテーマとは関係なく、でも、やっぱりストーリーの枠からテーマが溢れてきてしまう緊張感のためだったですね。ここ数作のキャメロンさんはその辺の抑制が利かなくなっちゃってストレートに愛を語り、駄作を繰り出し続けているわけです(最もひどいのはアビスか?)。こう、自分の好きなものには振り向いてもらえないのですね。ん、と、いうことは。細君キャスリーンビグロー(監督)は才媛。実はこの映画は自分の旦那をテーマにした映画だったのだあ。そう考えると主人公が自分の義務を忠実に果たすことで現実に目覚め、問題を解決し、本当に大事なものは何かがわかるというお話は実は妻から夫へのメッセージだったのだ(それとも夫の自虐か?)。うがちすぎですね。失礼しました。
ところで、見ててすごいなというシーンが多かったですね。仮想現実のシーンなんかワンカットであれだけのアクションシーンを作り上げるんやからヒッチコックも脱帽やね。すごいよ。それから最後の大晦日のところも豪華だわ。どうやってとったんだろう。映画好きなら是非一度見ときなはれ。苦言もあるけどねえ。その仮想現実のシーン完全な主観ショットだからぶれるぶれる。振り向かれてもなあ。はっきりいって酔うよ。いつも見る場所よりも5列後ろで見た方がいいね(今日は映画の日だったから満員で一番前で見てしまった。もうオエーッ)。それからサスペンス関係のストーリーがなあ。謎が明かされる過程がワンパターン。それに、別に1999年の大晦日の必要なんてなんもないやん。大山鳴動して、といった感じ。何かみんな同じ脚本を違う舞台で違う芝居に演じてるだけなんやね。
でもね、本当はおいらあの主人公にすごく共感してもうてん。そやから、この映画好きやねん。黒人の女の人もめちゃくちゃかっこよかったし。
御裁断は(最高☆5つ)
スタートレック-ジェネレーションズ
まず個人的なことを先に述べます。あたしゃあ、スタートレックはオリジナルシリーズはすべてみました。映画も全部公開時に見てます。ニュージェネレーションはほとんど見ていません(とはいえ、研究室に狂ってる人がいるのでアウトラインくらいは分かっているつもり)。で、この映画は2つのシリーズの橋渡しということで、あたしのような経歴の持ち主には涙なしにはみれません。と、いうわけなので客観性のかけらもないことをこれから書きます。スタートレックのこれまでの映画のシリーズはテレビを見てきた人からすればやはり違和感が残るものです。別にカークやスポックが爺さんだからではなく、映画シリーズがスターウォーズ以降の宇宙活劇映画ブームに乗って作られたからなのです。で、どうしても派手なSFXや戦闘シーンが売りになって(ほとんどスタントとはいえカークが老体にむち打って格闘するんやもんなあ)、テレビの(SF)ドラマ中心の構成からするとまあ、いいけどなあ、スポックも出てるし、というところだったです。でも、今回はいいよ。アクションと(やっぱりカークは格闘するけど)ドラマの配合が程良くて。肩の力を抜いて作ってる感じが好感度大。これまでの映画シリーズでは最高でしょう。でも、カークが出てくるシーンが圧倒的にできが良いと思うのは僕だけやろか。ちょっと、冷静さを取り戻したので客観的なことも少し。ファンサービスのために無駄なシーンがくっついてるのが多いですが(特にニュージェネレーションのパート)、全体としてはファンでない人でも十分楽しめる映画にはなってると思います。特にオープニングからエンタープライズBが脱出するまでは宇宙SF映画として(最近あんまり見なくなったなあ。こういう正統派のもの)素晴らしい出来です。最後にもう一つ素晴らしい点を。2つのシリーズの橋渡しは完全に船長の間だけで行われたことです。これが、ピカードが一人山頂にたつ最後のシーンの情感を盛り上げていると思います。いや、見てよかった。
御裁断は(最高☆5つ)
元のページに戻りたいですかあ?
このページは最近見た映画評いうことでやらしてもらってます。最近あんまり映画見に行く気力がなくってちょっとしかみてへんので、このページもちょっとだけ。昔みた映画の評はときどき横浜映画倶楽部に投稿してるからそっちもみたってや。