ストレンジ・デイズ
21世紀云々についての野暮なことはこの際問わないことにしましょうね。映画のディテールにリアリティーを求めるのは野暮の骨頂ですがな。
さて、本作のプロデューサー、ジェームズキャメロンが、愛を語りたがっているのはいつもの事だけれども、彼の才能は悲しいかなアクションやサスペンスにあるんですよねえ。ターミネーターやエイリアン2が傑作なのは、あくまでメインストーリーは本当のテーマとは関係なく、でも、やっぱりストーリーの枠からテーマが溢れてきてしまう緊張感のためだったですね。ここ数作のキャメロンさんはその辺の抑制が利かなくなっちゃってストレートに愛を語り、駄作を繰り出し続けているわけです(最もひどいのはアビスか?)。こう、自分の好きなものには振り向いてもらえないのですね。ん、と、いうことは。細君キャスリーンビグロー(監督)は才媛。実はこの映画は自分の旦那をテーマにした映画だったのだあ。そう考えると主人公が自分の義務を忠実に果たすことで現実に目覚め、問題を解決し、本当に大事なものは何かがわかるというお話は実は妻から夫へのメッセージだったのだ(それとも夫の自虐か?)。うがちすぎですね。失礼しました。
ところで、見ててすごいなというシーンが多かったですね。仮想現実のシーンなんかワンカットであれだけのアクションシーンを作り上げるんやからヒッチコックも脱帽やね。すごいよ。それから最後の大晦日のところも豪華だわ。どうやってとったんだろう。映画好きなら是非一度見ときなはれ。苦言もあるけどねえ。その仮想現実のシーン完全な主観ショットだからぶれるぶれる。振り向かれてもなあ。はっきりいって酔うよ。いつも見る場所よりも5列後ろで見た方がいいね(今日は映画の日だったから満員で一番前で見てしまった。もうオエーッ)。それからサスペンス関係のストーリーがなあ。謎が明かされる過程がワンパターン。それに、別に1999年の大晦日の必要なんてなんもないやん。大山鳴動して、といった感じ。何かみんな同じ脚本を違う舞台で違う芝居に演じてるだけなんやね。
でもね、本当はおいらあの主人公にすごく共感してもうてん。そやから、この映画好きやねん。黒人の女の人もめちゃくちゃかっこよかったし。
御裁断は(最高☆5つ)
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