コン・エアー
さいですなあ、おもしろおましたで。凶悪犯ばかりが乗り込んだ囚人護送機がハイジャック!ただ一人乗り込んだ正義感はいかにこの窮地を脱するか!というお話です。見る前は、そんなにたくさん敵役のせんでも、飛行機みたいに狭い舞台装置やったらジョンマルコムビッチ一人で十分やでえ、他のやつらはプロット腐らすだけやでぇ、と思っていましたが、ところがどっこい。巧い具合にお話しを動かして、それぞれの囚人の性格付けがストーリーテリングにしっかりからんでおりました。
ただ、悪人があまりに強すぎて、正義の側の動機づけが弱くなってたのが玉に傷といえば玉に傷。どちらかといえば、主人公のニコラスケイジよりも地上で飛行機を追跡するジョンキューザックの方がカッコよかったのは、麻薬捜査官との絡みを通じて動機づけがより明確に表現されてたからでしょうね。ニコラスケイジの方の動機づけは本来妻と娘であるはずなのですが、それだと、あのプロットを転がせなかったのですね。もう少し工夫してなんとかならなかったのですかね。
凶悪犯の中に一人だけ、毛色の違う異常殺人鬼(いわゆるサイコキラー。凶悪ではない)が混じっており、彼のプロットは浮いていました。だいたいにおいて、商業映画において、浮いているプロットというものは、作り手が無理して挿入するもので、隠しテーマを含んでいることが多いわけです。さて、彼は途中で本来の趣味であるところの幼女殺しの機会を得たのに(これはサスペンスのつもりなのでしょうが、逆にお話をばらばらに分断させてしまいましたね)、意外にも殺さずにおきます。そのお陰で、彼は幸運を付与されるわけです。しっかし、そんなモラルって隠しテーマってほどでもないんだけどなあ。ほほ笑ましかったからいいんだけど。
さて、御裁断ですが、妻と子供との再会シーンの処理があまりにも臭かったので、一個星を減じさせてもらって、
御裁断は(最高☆5つ)
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