コンタクト
最近は科学批判が大流行ですが、そういう人たちでも多くの人は心の底では科学を奉っています。そして宗教を忌み嫌います。僕は科学の世界に住んでいて(科学は好きですが奉ったりはしていません)、でも、しかし自分の本質は宗教家であると感じています。ですから宗教と科学の関係を描く映画は僕にとって人ごとではありません。
科学と宗教の融和を説くこの映画は科学批判とは対極に立つものです。むしろ科学が好きでしょうがない人でないと、こういう筋書きは書けないでしょう。カールセーガンは、「コスモス」の頃と比べると無垢さが失われましたが、豊かさが備わったような思いがします。これが科学に真摯に一生を捧げた到達点なのだと思うと、とても心が穏やかになります。
20代最後の日にこの映画を見たというのは僕にとっていろんな意味で象徴的なことです。そういえば、10年前に彼が京大で行なった講演会を見に行って感動したことを思いだしてしまいました。もう亡くなってしまったんですね。
そうして物思いに耽りながら劇場を出て、こんなことを考えているのはあんまりいないんだろうなあと思って少しだけ孤独感を覚えました。僕にとってはとても大事なことなんですが、ほとんどの人にとってはきっとどうでもいいことでしょうね。
御裁断は(最高☆5つ)
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