危険な動物たち
動物園の話です。タイトルの「危険な動物」とは、もちろん万物の霊長こと我々人間を皮肉っているわけですが、決してこの映画は自らの利益追求しか頭にない醜い人間の本性をあらわにしようなどという高尚な映画ではありません。はっきりいって、大笑いの映画です。もう10年ほど前ですか、「ワンダとダイヤと優しいやつら」という、これはもうキチガイみたいに笑える映画があったのですが、それの続編というか、スタッフキャストが再結集して、キャラクターやらお話の構造とか全く同じにして、舞台設定を少しだけ変えて映画を作りましたとさ。
まあ、そんなわけだから、ヒロイン、ジェミーリーカーティスを「老けたなあ、でも、胸は相変わらず大きいなあ」と思うくらいで、後は大満足。前作でアカデミー賞をとった(こういう役にも賞を与えられるアカデミー賞の懐の深さというか)ケビンクラインのアホ演技も最高ですわ。しかも、二役!企業買収に辣腕をふるうニュージーランド人(!)のメディア王とそのドラ息子。彼の演技は爪の先まで神経の走った動きで見ててほれぼれします。
主人公ジョンクリースが登場時には本性を隠しているのは前作とおんなじで、それがストーリーにダイナミックさを与えているのですが、キャラクターの変り方がすこしぎこちないかな、と思いました。最初の方に少し笑えるシーンを入れておけばもすこしスムーズだったかも。
このような面白い映画が京都じゃ一週間しか公開していないというのは残念至極。僕が見たときも劇場内には5人しかお客がいなくって、大勢の人と一緒に大笑いできたらもっとよかったのになあ。ほとんど前宣伝とか見なかったから仕方ないんだけど、この作品をちゃんと売っていかないのは怠慢だなあ。ワンダは割とヒットしたはずなのになあ。不勉強ですぞ、配給会社。
それにしても、イギリス人はあんなに露骨にアメリカを揶揄できてうらやましいことだなあ。ジェミーリーカーティスなんて、ずっとUSAってついた服を着てたぞ。
御裁断は(最高☆5つ)
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