ホワイトハウスの陰謀
拾いもん、めっけ。ウェズリースナイプスの画面の引き締め方はいつも感心させられてきましたが、今回もご他聞にもれません。今作はフーダニット物としてはじまり、アクションで締めるという、まあ典型的な娯楽映画の道を突き進む映画です。我らがウェズリースナイプスはワシントンの殺人課の刑事です。で、開巻草々ダーティーハリー並に拳銃自殺の志願者から拳銃を奪い取って場をさらいます。大抵、こういうシーンは主人公の無謀さを印象づけると相場は決まっているのですが、今回は安全装置がかかっていたことを見抜いていた上での行動だということがわかり、ウェズリー君がただの無謀者ではないことを示します。なかなか渋い展開です。
で、ホワイトハウスの中で起こった美女殺人事件の捜査から、ウェズリー君とシークレットサービスのダイアンレインが陰謀に巻き込まれていきます。この前半はなかなか予断を許さぬ調子で進んでいきます。ウェズリー君はいつものように肩の力の抜けた緊迫感ギンギンでグイグイと見るものを引っ張ります。で、まあ、後半二人が追われ始め(なんとなく、秘密を握った黒人男と白人女が追われるなんて、「ペリカン文書」みたいだけど、なんせ今作はウェズリー君だから比べちゃいかんわね)、秘密のトンネルから侵入するところにかけてはちょっと凡庸に落ち気味なのですが、まあ、それなりに見ていられます。で、最後の対決シーンになだれ込んだら、これがもうカッコよくって。しびれました。近年屈指の名シーンだと思います。
よくできていました。拾い物です。この手の小粒だけど引き締まった出来のいい映画を見られるというのは正月第二弾とか、秋口にかけてのお楽しみですね。
御裁断は(最高☆5つ)
97年に見た映画へ
一覧へ