パラサイト・イブ
この映画の原作は僕が見るところ、理系科学者の女性コンプレックスの話(「あー、もう、女っていうのはどうして論理的でないことばっかり言って僕を困らせるんだろう。ん?こいつら、ひょっとして人間の皮をかぶった別の生き物じゃないか?そう考えたら、こんなに理解できないことをするのも説明できるな」というやつ)だったと思うのですが、映画製作者の手にかかるとこれが立派に女にウブな科学者の純愛物語に変貌するのですから、面白いものです(男同士だってわかりあってないじゃないか!)。
健闘していると思います。カタツムリのシーンとか(アイデアは秀逸だが、子供に作品のテーマをまんましゃべらせたり、鳥がカタツムリを食べるシーンをことさら恐ろしいものと描いてみたり、ドラマとしての処理は拙いと思ったが)、編集でも音を落してみたり、時間順序をかなり複雑にしてみたり(やっぱ、最後にあれをもってこられると、感動するなあ。この映画は原作に無いオリジナリティを加えたというこの点で評価できる)、キチガイになった三上博史(こういう役はうまいねえ)といい、頑張っています。まあ、欠点はたくさんありますよ。日本映画だもん。資源がそれほどあるわけでなし。まず、稲垣吾郎と萬田久子と別所哲哉と葉月里緒奈の演技を何とかしてくれい。葉月さんが死ぬまでは、こっちが恥ずかしさで死ぬかと思ってしまった。やっぱ可愛い若妻はないんじゃないのー?それから、あそこまでやって葉月さんの胸を隠すとは何事!!スペースバンパイアを見習いなさい!!!それから、一つ一つのシークエンスを長く引っ張り過ぎる。見るべきアイデアもないシーンをだらだら見せられるのは辛いのだ!あと、細かい点では病院で二人目に燃えた掃除女のシーン。ああいうのを入れるから、折角盛り上げた恐怖のムードが台無しになってしまって、また一からやり直しになるではないか。他にもそういう映画的感情を阻害する夾雑物が目についた。何のためにあるショットを入れるか、よーく考えてからやるべきだと思うぞ
ところで、中島朋子が学会講演の練習をするところ、それじゃ、まるでセリフを覚えてるみたいやんか。ちょっと笑っちゃった。あの中島朋子になら食われてもいいぞ。
御裁断は(最高☆5つ)
97年に見た映画へ
一覧へ