スクリーム
この映画はスプラッタ系ホラー映画ということで、昨今の社会情勢に鑑みあやうく御蔵入りの憂き目を見かけた作品です。いやー、誰か知らないけど、こいつを救い出してくれた配給会社の人に世の映画ファンは足を向けて眠れませんぞ。
ところで、実は今回僕は劇場に行く前に、好意的な映画評を先にたくさん見てしまってたんです。普通はこの手の映画は劇場に行く前に事前情報があればあるほど劇場で純粋に作品にのめり込むことができないもんなんです。「世紀のどんでん返し」という宣伝文句一つのせいで、どんでん返しが出てくるまで「どうせ、こんなの前フリさ」なんて思った経験があるでしょう?今回僕は素直に見ていれば誰が犯人かは予想がついていたはずなのに、「面白い」と言う評判のおかげで、逆に過剰に構えて見てしまい、もう主人公以外の人物が全員犯人に見えてくる始末でした。おかげで、とってもハラハラドキドキできました。事前情報がいいほうに働くこともあるんですねえ。
監督ウェスクレイブンの最大の才能はヒロインのキャスティングだと思います。「エルム街」のヘザーランゲンカンプや「壁の中に誰かいる」の名前よく知らない女の子とか、彼の作品のヒロイン達は表情一つで、特にはかなさを漂わせた眼が不安をたたえた時、観客の心をぐっと捉えて放さない。これだけで作品はあらかた成功したも同然でしょう。もちろん、作りこんだプロットやつぼを押さえた演出も素晴らしいものです。
ところで、タランティーノのこと、嫌いなのかなあ?
御裁断は(最高☆5つ)
97年に見た映画へ
一覧へ