コレクター
僕にも女の子との口の聞き方も知らない少年時代というのが一応ありまして、好きな女性のことをガラスケースの中に入れて一日中眺めていたいなどとアホウなことを考えたことが一度もないなんて奇麗事をいうつもりは毛頭ないわけです。だから大昔のテレンススタンプがやっていた「コレクター」を見たときは、ドキーッとしました。いいの、こんなことを映画にしちゃって。という感じ
今回の悪役は、そういう意味では共感することのかけらもないサディストです。ただの異常者でして、「セブン」で見られたような原罪を深くえぐるような痛さもございません。こういうのをサイコスリラーとして売るなんてちゃんちゃらおかしいってもんです。
編集が大胆すぎるのでしょうか、それとも脚本段階での説明不足なのでしょうか、女主人公のアシュレイ・ジャッドが救出されてから、女性達の救出に至るまでのストーリー展開が説得力がありません。何が起こっているのかイマイチ判然としないうちに合理的な理由もなく捜査が進んでいく。うーむ。
演出面では、脱出のシークエンスを実際の時間上と、アシュレイジャッドの回想時と2回も観客に見せたのは明らかな失敗です。これでは観客は「もう、捕まってた場所わかってるやんけ、山狩りとかして、はよそこ行かんかい」と思ってしまいます。あそこは、救出された彼女の回想だけで処理するべきでした。そうしておけば肝心なところは観客に伏せておけます。あと、そんな大事なところに最後の方になって気がつくない、モーガンフリーマン!とか、火花が散らなくったって、火はつくんじゃい!とか、不備の目立つ映画でしたなあ。
御裁断は(最高☆5つ)
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