ラストサマー
「去年の夏、お前ら何してたか知ってるでぇ」という原題のこの映画、アメリカのアホ高校生どもが卒業式の乱痴気騒ぎの果てに人をはねてしまい、あろうことか死体を海に捨てて沈黙の誓いを立てるのですが、一年後に何者かに脅迫されるというお話です。映画を見た後でゆっくり考えてみたら、ストーリーがムリムリなところが多々あるのですが(結局犯人は何がしたかってんとか、なんぼ犯人がひどいことしたからって、お前らやっぱりひき逃げした事実は変わらんやんけ、とか)、見ているときは気にならないのですから、頑張っているほうなんだとは思います。でも、まあ、ひき逃げをしたアホガキどもが殺されそうになるのを見ていたって、別にハラハラするわけでもありません。「スクリーム」ですでに明らかになっているように、ハリウッド的モラルに従えば、善良でないものは殺されるべきなのである。これは、観客にとっても同じことなので、そこにはサスペンスなど生まれようがない。この点が今作の最大の構造的問題点なのです。
実のことを言うと、この構造的問題点は脚本家がハリウッド的モラルを逆手にとった罠だったはずなのです。しかし、これは策士策に溺れるでした。俳優の弱さもあって、作品の興を削いだだけの結果になりましたね。残念。
あとは、アホガキたちの中でのキャラクターの分化がしっかりしていなかった(内部対立や互いの疑心暗鬼をもっと協調していればよかったでしょうに)ために、観客の注意力が分散してしまったというのも欠陥といえるでしょうか。
ところで、これも続編が作られるという噂を聞いたんだけど、あのラストから?
御裁断は(最高☆5つ)
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