レインメーカー
豊かな映画でした。芸達者が紡ぎだす繊細な感情を浴びているのは、とても気持ちのいい映画的体験でした。もともと原作のグリシャムは自分も弁護士であるわけで、一貫して弁護士に代表されるアメリカ法治社会の偽善性を主張してきました。なので、彼の物語には芯の部分で常に純粋なものがあり続けています。そこのところを上手く捉えた、本作や「依頼人」などは傑作になったわけで、逆に単純な法廷スリラーと考えた「ザ・ファーム」や「ペリカン文書」は駄作だったわけです。「評決の日」は前者なんだけど、イマイチでしたけどね。
それにしても、ダニーデヴィートです。いつもの彼とおんなじような役柄なんですけど、今回ほど味を出していたことはありませんでした。主人公が遅刻してきたときに、替わりに弁論に立っていたときのカッコよさや、急場になると影から主人公を助けるあのやり方とか、キャラクター設定からして、とてもいい役でしたね。
最後に、コッポラの演出について言っとかなきゃダメですね。僕は、これまでコッポラの大仰趣味がそれほど肌に合っていたわけではなかったのですが(いや、もっと正直に、嫌いだったのよ)、今度はとっても微妙な演出でした。僕が一番好きなシーンはマットディモンがクレアデーンズを抱き上げてベッドに横たえるシーン。もう、どうしようかと思った(あの、ベッドシーンじゃないですから。クレアデーンズは怪我をしていて車イスからベッドに移っただけですからね)。
御裁断は(最高☆5つ)
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