バグズ・ライフ
良きアメリカ映画です。
願いを強く持てば必ずかなう。みんなで力を合わせれば負けはしない。勤勉は酬われる。不正直でなければいつか理解される。挑戦し続ければ道は開ける。
今どきこんなテーマで映画が作れるのも、CGの見たこともない映像あってこそ。表現手法が新しいのだから、テーマは単純明快でもかまわない。逆の言い方をすれば、テーマを必要以上に複雑にしないためには、絶えず表現手法の革新が必要になるという。あちらを立てればこちらが立たずですな。ピクサーが次に作る映画は、誰でも知ってる有名な話、例えば昔の名作映画のリメイクなんて面白いかもしれませんね。ストーリーの目新しさではなく、完全に表現としての目新しさだけで勝負するという。そういう期待を抱かせるほど、今回のアリの世界センスオブワンダーな感覚は大きかった。風にそよぐ草の密林。泥が乾燥してできたグランドキャニオン。雨水の爆撃。全てのシーンに驚きがありました。
はっきり言って少し前に公開された「アンツ」なんて目じゃないです。脚本がよく練れていて、キャラクターやイベント達がきっちりとつながってムダがありません。これに比べると「アンツ」のなんと凡庸で爽快感のなかったことよ。やはり、アイデア持ち逃げして、突貫工事で作った映画は本物にはかなわないということですね。よかったよかった。そもそもアリを4本足で描くところからして素晴らしい。でも、ちゃんと敵役のバッタは6本足なの。異形のものなんだね。しかし、欲を言えば、助っ人達がバッタと戦うときにもっと積極的な役目を果たしていればよかったかもしれません。今のお話だと、連中はいてもいなくてもいいんですよね。
それから、鳥の動きのリアルだったことよ。
今回、アリ学者としてのコメントは差し挟む余地がありません。それくらい映画として完成されています。一言だけ言わせてもらえば、Princess Attaかぁ。
御裁断は(最高☆5つ)
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