ガメラ3 イリス<邪神>覚醒
あ-あ、なんてことだろう。ガメラ1、2と言えば「現代社会に怪獣が出現したらどうなるか?」のリアルなシュミレーションとして、まぎれも無い傑作だったわけです。で、さすがに三作目にもなると、そういう手法ばかりではやりにくくなる。で、今回はギャオスとガメラの戦いで親を殺された少女の視点を取り入れました。物語をそういう個人的なささやかな視点から描くやりかたは、金子監督の得意技。なのに、いいたいことはよくわかるのに、中途半端。山咲千里と変なコンピューターおたく、最悪。最悪。ああー、もう、最悪ですともさ。ストーリーに全然絡んでこないしさ、そもそもリアルなシュミレーションであるというこれまでの良さからも逸脱している。あれじゃあ、安手のゴジラ映画のキャラクターじゃないか。他にもこれまでとの一貫性のために出さなきゃならなかったキャラクターが多すぎて(警部補とか、官僚とか)、全体が散漫になってしまいました。
やはり、狂言回しは中山忍と藤谷文子だけに任せて、少女からの視点のみに基づいて描くべきでした。そうすれば、「何かに対する憎しみをバネにして選んだ男は結局の所ろくなヤツでは無く、土壇場になって男からひどい恐怖を味わわされることになる」という点をもっと全面に出すことができ、そうすればまた新しい傑作になれただろうに。怪獣と個人との関係を描いて成功した映画なんてあんまりないよ。後半、京都駅での戦い、少女が取り込まれてからの圧倒的なポテンシャルを見て、とてもとても残念でした。山咲千里と変なコンピューターおたく、最悪。
それにしても、あんなラストにするとは。うまく処理したものだ。しっかりと区切りをつけつつ、しかも続編を作ることも可能だと言う。
しかし、あの調子じゃあ、僕のすんでるところも燃えているなあ。
御裁断は(最高☆5つ)
99年に見た映画へ
一覧へ