ライフ・イズ・ビューティフル
さて、この映画の一番重要なポイントは、ロベルトベニーニが妻をめとるまでの前半と、収容所に入れられてからの後半をまったくおんなじ平面上に置いて、そうして両方をひっくるめて、「ライフイズビューティフル」と言い切ってしまうところなんだと思います。すべては心のありかた次第であって、一つにくくれるんだよと、こんなに両極端に見えるけれども、一つのものの二つの側面にしか過ぎないんだよ、と言ってしまえるところです。そうすることで、二つを結びつけるものの重要性もあらわになるという。
この映画を見ていて思ったこと二つ。それは「三回繰り返せばギャグになる」「ウソでも百回言えば本当になる」。この二つって一つの軸の上に並べられるのかもしれませんね。ギャグってのは本当のことの未熟な段階だということですね。いや、それにしてもうまく伏線を聞かせてギャグを作っていくことよ。
それにしても、ラストああしなきゃいけなかったのでしょうか。完全には納得できていません。軍医のシークエンスも含めて考えるのですが、甘さを出さないのがヨーロッパ趣味ってものなのでしょうか。
そういえば、「あんなものは現実じゃない」とか、「ホロコーストを生き延びた人を愚ろうしている」などの批判があると聞きます。けれでも、ロベルトベニーニは将来を見ているのです。いつか人が苦境に陥ったときどうすればよいかということだけを考えているのです。ですから、過去のことしか頭にない上のような批判はまったく的外れなのでしょう。的外れを受け入れたとしても、過去しか見ない人よりも将来のことを考えている人の方が建設的であると僕は思っています。
御裁断は(最高☆5つ)
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