ノッティングヒルの恋人
逆シンデレラ。男も弱く、女も強くなったものだ。
ここまで正統派恋愛映画だとは思いませんでした。なんせ開巻10分ほどで二人は出会い、恋に落ち、その後えんえん2時間あまりをくっつくだの別れたので押し通しましたよ。なんといっても自由恋愛の御時世ですから、若い二人の間の障害が大きいほど面白い恋愛映画ってのは、なかなか作りにくい世紀末です。だからこそ、幽霊との恋や時代感覚の全く違う二人の恋などの少し間違えばキワモノ的な恋愛映画が最近流行っているという次第。本作はシチュエーション自体はそれほどキテレツなものではないです。現実にこんなことは起きないけれども、もし起きたとしても
愛さえあれば
解決可能なシチュエーションです。じゃあ、障害なんて何もないかというと、それだったら恋愛映画にならないわけで、ジュリアロバーツの行動自体が障害になるという仕掛けです。ですから、この映画、女性の側に立って感情移入することはほとんど不可能です。だって、ジュリアロバーツったら一人でおかしな行動をとって、事態を紛糾させていくのですから。そりゃあ、ヒューグラントもひきますわな。いきなり初対面でキスされてもねえ。やっぱ、有名女優の火遊びで、ほんとうは
愛なんて無かったのよ
。
しかし、面白いからノッティングヒルの恋人2とか作りませんかね。結局きらびやかな映画スターの世界になじめるはずもなく、哀れ二人は三年後に離婚。失意のヒューグラントが本屋を店じまいしているところに、パパラッチから逃れてきたメグライアンが登場!!どうです?で、もちろん三作目はキャメロンディアスがすっかりアル中になったヒューグラントを助けてロンドンの街を走る!!!!世界は君の肩にかかっているぞっ!
いや、それでも本音を言うと、面白かったですよ。最近ダメだなあ、すっかりこの手の恋愛映画に弱くなっちゃって。女性のお客様もヒューグラントの側に立てばきっと楽しめます。それから、この映画にはサブテーマとして、人生必ずしもうまくいっていない人たちにだって輝く時間はあるんだよ、っていう気の利いた隠し味もありますし。
技巧的に面白かったところが三ヶ所。二人が公園のベンチで並んで腰掛けるシーンを二人の地平からぐーーーって大俯瞰にまで視点を大転換してしまうところ、季節の移り変わりをノッティングヒルの街路をヒューグラントが歩くワンカット(だよね)で表現したところ(これは見事なカットでした)、エンドタイトル。笑ってしまったところ。ジュリアロバーツの劇中映画、宇宙服の靴がスキーブーツだったの。ロジャーコーマンかと思った。
御裁断は(最高☆5つ)
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