ポリー・マグー お前は誰だ?
あたしはハリウッドB級から超大作までを専門にするということを自任しておるのですが、ときどきはこうやってアート系の劇場にかかる映画も見に行きます。今回は研究室の人たちと行っている毎週水曜日に映画を見る会の会員番号三番のカラオケ大魔王山脇先生が御就職で京都を去るということで、最後に彼の見たい映画を見るという企画に従って見に行ったのでした。
結論から先に申しますと、あっしはおフランスのユーモアセンスというのがよくわからんのですな。「地下鉄のザジ」なんかは面白いと思って感動しましたが、あれとポリー・マグーは、ギャグの質はおんなじ様なものだけれども、疾走感が違います。前者はクライマックスの大ドタバタに向けて世界の破壊が着実に進行していく。こっちは、最初から最後までおんなじ調子で、くだらない、芸のかけらもないばか騒ぎだけが続いていく。これは、辛い。さすがはおフランス製だからそこそこにオシャレさちりばめているのですが、それだけで二時間の睡魔と戦うには戦力不足というものです。
映画というものは、作り手の人間性を隠そうとしても表すものです。アート系の映画では、そういうものを隠しさえしないのですが、この映画のように、そこに存在する人間性が負しか無い映画って言うのは、見ていてどのような種類においてもカタルシスを得られない。別にそこにあるものが新しいわけでも無し。こういうので衝撃を受ける人っていうのは、これまでよっぽど極楽トンボに生きてきた人で、人間の負の側面なんてついぞ考えたこともない人たちであることだなあ。そういう人たちで水曜日の夜9時からのレイトショーで劇場が満員に近くなるんだから、日本は幸せだけど、将来は暗いことだなあ。
御裁断は(最高☆5つ)