RONIN / RONIN
戦う男を撮らせたら、というか、戦う男を撮ることしか頭にないんじゃないか監督のジョンフランケンハイマーの新作。僕は、ロバートデ・ニーロの「ほら、おれって上手いだろ」演技があんまり好きではなく、特に今作のようなアクション映画ではああいう演技は本筋から気をそらせるだけになるんじゃないかと思っていましたが、比較的抑えた演技でよかったように思います。
こう色々な国の人がパリに集まって一つのミッションを行おうとするのですが、英語の訛りが聞き分けられない僕では登場人物の背景理解や、そもそも登場人物の弁別に少々苦しみました。残念なところです。一度に三人を混同していてはなかなかストーリーについていけない。
実は、アクションシーン、特にカースタントが非常に素晴らしい映画でして、あんなの見たことないやってほどの出来です。星半個分よけいにあげてしまいます。映画史上一二を争うんじゃないでしょうか。対向車線の車を右に左にかわして行くシーン、主人公も対向の車もパッシングバシバシで、リアル感もなかなか。あんなふうに気の行き届いた演出されたカースタントも珍しいです。で、ですねえ、見ているほうとしてはそっちですっかり満足してしまったもので、ストーリーはある意味でどうでもよくなってるんですよね。でも、この映画、律義にストーリーもかっちりと作ってある。最後のシーンになって、すべてが明らかにされて、「おお、ちゃんと伏線も引いてあるじゃないか」と思える。しかし、映画を見ている最中はその伏線はりが、登場人物達の行動の不合理さに見えてしまいます。これは、アクションシーンへの集中度を損ねます。そいつはとても残念なのです。ぜいたくな要求ではありますが。
バランスは常に大事なのだなあと。でも、しつこい演出では定評のあるフランケンハイマーにそれを求めては酷というものですね。
ところで、一応謎の女とロバートデ・ニーロの間には、作戦を共にする中である種の男と女の感情が生じてきていて、それがラストの方で少し現れてくるわけですけど、まったくロマンチックさのかけらもない演習なもんで、困ったもんですな。あれなら、最初っから無しにしておけばいいのになあ。あのキスシーンなんて、とってつけたようだぞ。うらやましいけど。
御裁断は(最高☆5つ)
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