死国
焦点の定まらない映画でしたね。このお話の中には色々とテーマがあるのですが、その描き方はどれも中途半端。まず第一には都会の生活に疲れた夏川結衣というテーマ、それにからんで、グズだった彼女が古里での体験を経て成長するという側面があったはずです。ところが、東京での彼女の生活をほとんど描写していないために(あの携帯電話の演出はうまいと思いましたが)、彼女はこの映画の中で狂言回し以上の何者にもなっていません。もちろん夏川結衣の演技特性がそれに輪をかけているのですが。
それから男女の三角関係というテーマもあるでしょう。ところが、これも筒井道隆が夏川結衣になぜ惚れるのか、さっぱりわからないので、盛り上がりません。結局、最後にはあっちにもどっちゃったりして、なーに優柔不断なんだかと思います。
他にも死者をよみがえらそうとする邪悪なたくらみを持つものと、それを阻止するものとの戦い、子を失った親の情念などのテーマもあるのですが、いかんせん力量と資本不足ですな。どれもこれも未消化です。あー、それから、カメラが不必要に揺れる。とても見難い。ああいうのを芸術だと考えているならとんでもないことです。いますぐやめなさい。
それから、今回の御裁断は夏川結衣があまりにきれいだから、★半分おまけしときますので。
御裁断は(最高☆5つ)