天国と地獄
今見てみると、なんとも古くさい感じがする。山崎努扮する誘拐犯はいかれたサイコ野郎との設定だけれども、現代の目から見てみるとただの甘ちゃん。ラストシーンから受ける印象は、「なんだ、ただの自我ばかり突出したひねくれインテリじゃないか」と言う感じ。昨今新聞をにぎわす事件の方がよっぽど怖ろしいと思います。まあ、こればっかりは時代が悪いんであって、黒沢のせいではないですね。
この映画、前半部分誘拐された子供が解放されるまでのドラマの緊迫感に比べて、後半の犯人逮捕に至るなぞ解きとサスペンスの部分の弱さの対比が目立ちます。前半、かなりの無理な設定を三船の気迫一発で(ただの大根とも言えるが)グイグイ押していく。ここは見ていて最高に興奮します。反面、犯人捜索のシーンはただダラダラと、なぞ解きのカタルシスもなく進んでいって退屈な感じです。ダンスホール(なのか?オムライス100円とかだったなあ)のシーンが特にだらけました。やはり黒沢はキャラクターを描いたり絵を作るのは得意でも、ストーリーを語るのは不得手なのでしょうか?
まあ、それにしても思うが、昔の日本人はかっこよかったなあ。今の人たちはいったいどうなってしまったんだろうか?
御裁断は(最高☆5つ)
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