ウェディング・シンガー
映画の魅力がどのようにして形成されるかについて、だいたいの事がわかっていたような気がしていました。なのに、なのに、この映画を見て、その自信は見事に打ち砕かれました。いやー、映画って本当に奥が深いものなんですね。こんな得難い体験ができてとてもうれしい。
ありきたりのラブストーリーです。青年と娘が出会って、好意を持ち、でも、いろんな事情で自分の思いに気がつかなかったり、気がついても怖くてうまく伝えられなかったり、伝えようとしてもすれ違ったりしてても、最後には結ばれる。だれがどう見ても何のひねりもないラブストーリーです。「普通じゃない」のように洒落た映像センスがあるわけでもないし(いや、むしろベタであざといシーンの連続だ)、「恋愛小説家」のようにウィットに富んだセリフがあるわけでもない(すべての陳腐なセリフは、当たり前のように繰り出される)。「メリーに首ったけ」のようにそこまでやるかギャグもない(全てのギャグはアマアマで、笑おうにも笑えない)。出てくる登場人物はみんな美男美女とは言い難いし、演技もお約束的なものが多い。時代設定を80年代にしたのは新機軸だが、それもルービックキューブをこれ見よがしに出したり、TVドラマ「ダラス」や「マイアミバイス」についてのセリフがあったり、絶えず80年代音楽がかかっていたりというだけで本筋とはまったく関係がない。
しかしだ。このようなだるいだるい展開も安定して映画一本分続けられると、作り手のペースに巻き込まれるのだ。もちろん主役の二人、特にドリューバリモアの表情はとても素晴らしく、説得力があるのが第一の勝因である。流行を後から追ってしまうような少しどんくさい、けれどとても純粋でよい娘さんを演じていて、最高である。これなら、おじさんも惚れてしまう。それに、それに、、、ごめん!僕は80年代好きなんだー!!
ああ、言ってしまった。だって、おいら、高校生だったんだよ!SonyMusicTVとか、ビデオにとって、何度も見てたんだよっ!!あのころ、やっと家庭にビデオが普及しだしたころで、ルービックキューブもちゃんと6面作ったんだよっ!!!
それに、やっぱり、結婚はお金でしちゃダメだよ。ちゃんと正しい相手としなきゃだめなんだよ。そういう人は、きっと出会ったらわかるんだよ。でも、ときどきはお金のせいでうまく行かなかったりするんだよ。
うるさいっ。誰が何と言おうと、おいらは、ダダ泣きだったんだい。ビリーアイドルが昔と同じ衣装で出てきてるのに、ジジイになっててもかまわないんだい。今回の御裁断は好きにつけさせてもらうからなっ。
御裁断は(最高☆5つ)
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